誰も売らない商品をバカ売れ商品に変えた男 ~ 4倍速マーケ #21 - Webマーケティング全般 - 専門家プロファイル

谷口 浩一
株式会社チームデルタ 代表取締役
千葉県
Webプロデューサー

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誰も売らない商品をバカ売れ商品に変えた男 ~ 4倍速マーケ #21

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エッジの効いたマーケティング 勇気ある選択

8年ぶりの新車です。

かっこいーでしょ!?(笑)

 

僕の新しい車いすです。

 

福祉機器であり、補装具の代表でもある

車いすは、長らく町工場でハンドメイドで

作られてきました。

 

 

注文から完成まで半年もかかり、あちこち

の金属の削り残しで、手のひらをケガする

ような、いわば民芸品レベルのシロモノで

した。

 

 

僕ら利用者には多くの要望や不満がありま

したが、それを解決してくれる会社は、当

時の日本には一社もありませんでした。

 

 

車いす製造業者にとって大口顧客は病院や

施設です。

再販が余り期待できないほど長期で使用さ

れます。

 

 

障がいを持つ個人、すなわち個別の顧客

にはワンオフで作られるのが通常で、手

間ひまのかかる割りには旨みが少ない事業

です。

 

 

その証拠に、製造業者、販売業者ともに、

日本各地に点在する超零細企業ばかり。

心細い状況でまかなわれているのが実情で

した。

 

 

突然、溶接部分が折れて身動きできなくな

ったり、前輪がはずれたりと、当時の車い

すは、技術立国日本が作り出す製品とは思

えないほどお粗末なシロモノだったんです。

 

 

が、10数年前、一人の男がすべてを変えて

しまいました。

 

 

彼は、民芸品だった車椅子を、自転車やバ

イク、いやそれ以上の品質と高度な機構を

もった素晴らしい、まさに、

 

made in japanの工業製品

 

に変えてしまいました。

 

  

彼が目指した車椅子は、これまでのものと

はまったく異なる視点で設計されました。

  

・疲れない車いす

・かっこいい車いす

・思わず出かけたくなる車いす

・毎日が楽しくなる車いす

 

彼が考えたのはこんな車いすでした。

 

 

福祉機器、補装具の一種である車椅子に、

ファッション性や快適性、そして、そして

それを使うこと楽しさ、所有することの喜

びをもたらそうとしたんです。

 

 これってバイクや車を欲しいと思う人の

 感情を満たすことに近い考え方ですよね。

 

 

彼は、こんなことを本気で考えた最初の

日本人だったと思います。

 

 

彼の挑戦は、表層のデザインだけでなく

極めて精緻な技術にもフォーカスしており、

 

・より素早く製造でき

・より快適に  

・より軽く

・より安全に

 

を目指して開発が進められました。

 

 

その結果、かつて車いすに使われたことが

ない素材や、驚くほど斬新でアイデアにあ

ふれた機構が多く採用されました。

 

 

例えば、一人ひとりの体にフィットし、

かつ短期製造を可能にするために、車体を

いくつかのパーツに分割し、たくさんのサ

イズを用意し工場で量産しました。

 

 

より精密なフィット感を生み出すために、

各部はアジャスタブルになっています。

 

 

素材の一部には削り出しのアルミやカーボ

ンを使って軽量化しています。

 

 

前後の車輪にはサスペンション機能を設け

不快な振動を抑えています。

 

 

膝の上にしか置けなかったバッグ、かばん

類は、海外ではいつも盗難の対象でしたが

座席下に張られたネットでこの心配も消え

ました。

 

 

 

彼には、おそらくマーケティングを深く学

ぶ機会はなかったと思います。

 

 

ただ、おそらく彼は、車いすの利用者にと

って

 

【今ある状況は正しくない】

 

と日本で一番強く感じた人だと思います。

 

 

また、 

【自分にはその状況を変えることができる】

 

と強く信じた人だと思います。

 

 

 

今、彼の会社は、日本において一社の競合

も存在しない市場で躍進し続けています。

 

 

なんたって、量産タイプだけで用途や好み

に応じて10車種以上。

車体の色は数十色。

オプションもライフスタイルに合わせて

数十種類をラインナップ。

まるで車みたいでしょ?(笑)

 

 

ららぽーと船橋には、日本初の車いすショ
ップを開いています。

 

 

毎年のようにモデルチェンジが行われ、常

に軽量化と快適性が進化しています。

 

  

長らく誰一人やらなかったことに挑戦して

多くの人に驚きと喜びをもたらし、ビジネ

スまで成功させた原動力は、やはり確固た

る自信に裏打ちされた

 

 

【ほとばしるような情熱】

 

 

だったんだろうと思います。

 

 

僕が今学ぶマーケティングの一番底辺を

為すべきは、このビジネスに対する輝く

ような情熱でなければならないと思ってい

ます。

 

 

その意味で、彼は身近に存在する大切なお

手本でもあります。

 

 

 【車椅子=福祉機器】

 

 

 として捉える限り、そこに求められるもの

 は限定されます。

 おそらくは 価格と安全性のみです。

 

 価格が安く、安全性のみ満たすよう、業者

 は作ります。

 

 ですが、そこに、

 

 【ファッション性】【所有する満足感】

 【快適性】【ワクワク感】【新しい体験】

 

 などが加われば、同じ車椅子であっても

 

 ターゲットもオファーも変わってきます。

 

 最大顧客は、障害者施設や病院から個人へ。

 最安の価格は、それを欲しいと思う人の満足

 度や価値観へと変化します。

 (事実、価格は2倍から5倍へと上がり

  それでも売れ続けました)

 

 

僕は、この新車を前に、彼が日本にいなけ

れば、僕はどんな車いすに乗ってたのかな

と思います。

(ぞっとします・・)

 

 

 

ちなみに僕の車両は、ZZR-2011というモ

デルに10種以上のオプションパーツを組み

込んだスペシャルバージョンです(笑)。

 

 

午後からこいつの初乗りをかねて、浦安の

夢と冒険の国で講演です。

 

 

今回も長い文章を最後までお読みいただき

ありがとうございました。

 

 

さぁ、本日もハッピーワーキングでまいります!

 

今日がみなさんにとって実り多き一日で

ありますように。

 

 

チームデルタ

谷口浩一

 

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このコラムを書いたのは、2011年11月

です。

ここで紹介した偉大なる男とは、

OXエンジニアリング元社長 石井重行さん。

石井さんは、誠に残念ながら、2012年

12月31日、がんのため逝去されました。

葬儀には、国内外トップクラスの車椅子

アスリート達が参列したとのこと。

心からご冥福をお祈りいたします。

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