米国特許判例:Webと特許の新規性喪失 - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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閲覧数順 2024年10月09日更新

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米国特許判例:Webと特許の新規性喪失

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米国特許判例:Webと特許の新規性喪失 FTPサーバへのアップロードにより新規性を失うか?
〜米国特許法第102条(b)の解釈〜 
SRI International, Inc., et al., v. Internet Security Systems, Inc., et al.,

河野特許事務所  執筆者:弁理士 河野英仁

1.概要
 米国特許法第102条(b)は次のとおり規定している。
「次の各項の1 に該当するときを除き,人は特許を受ける権利を有するものとする。
(b) その発明が,合衆国における特許出願日前1 年より前に,合衆国若しくは外国において特許を受けた若しくは刊行物に記載されたか,又は合衆国において公然実施若しくは販売された場合」

 つまり特許出願の1年前に公知または公用となった技術については特許を受けることができないとする規定である。これは米国特有の制度であり、1年の期間はグレースピリオドとよばれる。論文発表等を先に済ませ、1年以内に特許出願を行うことで特許を取得することができる。

 本事件では技術資料をWebサイトに掲載してから1年以内に特許出願を行った。この点問題はない。しかし、発明者は学会の論文査読のため、特許出願の1年3ヶ月前にFTPサーバへ技術資料をアップロードし、電子メールにて査読者にこのFTPアドレスを通知していた。

 この場合、FTPサーバへアップロードされた技術資料は102条(b)にいう刊行物に該当し、新規性を喪失するか否かが問題となった。

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