田尻 健二
タジリ ケンジ自己愛講座1~自己愛的な人とはどんな人?
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今回から私の専門の「自己愛」について、いろいろと書かせていただこうと思っています。
1回目は自己愛的な人とは、そもそもどのような人のことを指すのか、言葉を変えれば自己愛の定義についてです。
自己愛とは?
おそらく多くの方は自己愛的な人と聞くと「ナルシスティック」「自己中心的」「尊大」「冷たい」などのイメージを抱くと思います。
これらはいずれも自己愛性パーソナリティ障害(自己愛性人格障害)という精神疾患の特徴ですが、実はこれらは自己愛的な性格の、ごく一面を示したものに過ぎません。
例えば精神分析では、次のような人のことを自己愛的と呼びます。
「他者から肯定されることによる自尊心の維持をめぐってパーソナリティが構成されているような人」
※参考文献「パーソナリティ障害の診断と治療」(創元社)の「自己愛性パーソナリティ」の章の冒頭部分
具体的には、自分一人では自分の存在価値を十分には感じることができないため、誰か他人から頻繁に「あなたは素晴らしい人だ」というようなメッセージを受け取ることを渇望し、その結果このことが他のどのような事よりも優先されてしまっているような人、ということになります。
私たちは誰でも「承認欲求」という言葉で形容される「人から認められたい、褒めて欲しい」という欲求を持っていますが、このこと自体はとても自然なことで、問題はその程度です。
自己愛的と呼ばれる人は、この承認欲求があまりにも強すぎるために、状況によっては他のもっと重要なはずのことまでもが二の次にされてしまうことが問題なのです。
上述の自己愛性パーソナリティ障害の診断項目の一つの「絶え間ない賞賛欲求」も、このような事情から生じていると考えられます。
日本人は誰もが自己愛的?
この定義から致しますと、ナルシスティックとは無縁と思えるような、普段から他人の目や評価を非常に気にして、互いに気を遣い合っている私たち日本人の多くも実は自己愛的な性格である可能性が出てきます。
その理由は次回の自己愛講座に書かせていただきます。
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