田尻 健二
タジリ ケンジ自己愛講座2~もう一つの自己愛的性格
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第1回めでは自己愛的な性格を「他者から肯定されることによる自尊心の維持をめぐってパーソナリティが構成されているような人」と定義 し、そして最後に「他人の目や評価を非常に気にして、互いに気を遣い合っている私たち日本人の多くも実は自己愛的な性格である」と述べました。
今回はその理由について書かせていただきます。
上述の定義のように自己愛的な人は、自尊心の維持のために「他者から肯定される」ことに心を奪われていますので、そうなりますと必然的に「他人が自分のことをどのように思っているのか」が気になって仕方がない状態となります。
そしてこのことが「他人の目や評価を非常に気にして、互いに気を遣い合う」人間関係をもたらします。
なぜなら(定義からして)他人からの肯定的な評価なしでは、自尊心を保てず自分に価値があるとは思えない訳ですから、その肯定的な評価を引き出すために、常に「相手に好かれるように」また「機嫌を損ねないように」振る舞う必要があるためです。
こうしてDSM-4の「自己愛性パーソナリティ障害」の診断項目に列挙されている「尊大」などの症状をほとんど見せないような、もう一つの自己愛的な性格構造が形成されます。
ちなみにこのタイプの自己愛的性格は「抑うつ型」「過敏型」「うらなり」の自己愛などと呼ばれています。
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