山本 雅暁
ヤマモト マサアキグループ
日経記事;『車向け樹脂、植物から 三菱ケミ、素材も脱炭素』に関する考察
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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
2月22日付の日経新聞に、『車向け樹脂、植物から 三菱ケミ、素材も脱炭素』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『三菱ケミカルホールディングス(HD)は二酸化炭素(CO2)を実質的に排出しない車向け樹脂を開発する。米新興企業と植物由来原料を使い実用化を狙う。調達網全体でCO2を減らそうとする自動車会社などが増えるなか、脱炭素対応が素材の競争力を左右するようになっている。三菱ケミカルHDは米リングローブ(カリフォルニア州)に出資し、麻の一種「亜麻」の繊維と石油由来プラスチックを混ぜ、車内部のインパネ用材料を開発する。。。』
日本には、金属材料、非鉄金属材料、化学材料などの素材・材料分野で、大きな強みをもつ企業が多数存在します。
一般的にこのような素材・材料の開発・実用化には、長い開発期間と巨額投資が必要になります。
日本のメーカーは、このような長期間を要する開発・実用化をコツコツと行う企業が多いです。
近年では、この素材の開発・実用化で大きく成功した事例の一つが、東レや帝人などが、長期間開発・実用化を行ってきた炭素繊維です。
現在、炭素繊維は、鉄の10倍の強さと1/4の軽さをもつことから、飛行機・自動車・自転車・釣り竿などに使用されています。
炭素繊維は、元々アメリカの化学メーカーにより開発されましたが、実用化には、長期間を要したことから、アメリカの企業は、実用化を断念した経緯があります。
代わりに、炭素繊維の実用化を担ったのが、東レや帝人などの国内メーカーでした。
現在、世界中で脱二酸化炭素の動きが加速しています。国内素材メーカーには、この脱二酸化炭素の動きは、新規事業立上の機会になります。
同時に、米欧のメーカーも、脱二酸化炭素を実現する新規素材の開発・実用化を積極的に行っています。
本日の記事は、その一例になります。三菱ケミカルが米国の企業と共同で、二酸化炭素を排出しない、麻の繊維と石油由来プラスチックを混ぜ、車内部のインパネ用材料を開発・実用化する動きです。
三菱ケミカルは、従来のプラスチックと同等の販売価格を目指すとのことです。今後、自動車は、当面の間EVが主力になります。EVの販売価格は、現在のガソリンエンジン車に比べて低減化する傾向が高まると
この麻由来のインパネ用材料として使われるためには、高い品質に加えて競争力のある販売価格の設定がポイントになります。
近い将来、脱二酸化炭素を標榜する新規素材の開発・実用化が進んで、多くの国内外のメーカーから新商品が出てきますので、商品の品質と販売価格が競争力の源泉となります。
脱二酸化炭素の観点から、一例として、水素や廃プラスチックなどからプラスチックを製造する方法の検討も進んでいます。
今後、国内素材メーカーは、脱二酸化炭素という競争の土俵上で多くの競合先との戦いを行うことになります。
同時に、現在の石油由来のプラスチックの置き換え需要も巨大な市場規模になります。
私は、国内素材メーカーは、今までの長い事業経験から、この巨大市場に積極的に取り組んで、非石油である脱二酸化炭素素材で、高い競争力を獲得することを大いに期待します。
この視点から、脱二酸化炭素素材の開発・実用化に注目していきます。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
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