藤森 哲也(不動産コンサルタント)- コラム「不動産売買 トラブル相談例④【他人名義の土地に無償で建築できるか②】」 - 専門家プロファイル

藤森 哲也
将来必要なお金を把握せずに、家を買うのって怖くないですか?

藤森 哲也

フジモリ テツヤ
( 不動産コンサルタント )
株式会社アドキャスト 代表取締役
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不動産売買 トラブル相談例④【他人名義の土地に無償で建築できるか②】

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不動産購入の基礎知識 不動産購入塾 2013-12-07 10:13

 

前回は、他人の土地を借り、そこに新築することは可能ですし、無償・有償どちらの

 

借り方でも建築に問題はないこと。

 

但し、無償で借りる場合は「使用貸借」、有償で借りる場合は「賃貸借」として扱われ、

 

土地を借りる際に関係してくる法律の違いに伴って、借主の権利も違うものになることに

 

注意が必要と話しました。

 

 

 

例えば使用貸借(無償)の場合、

 

・借主(相談者)が亡くなってしまうと効力を失い、遺族に相続されず土地を借り続ける権利

がなくなるなど、土地を借る権利(保護される部分)が弱い立場となることが多い。

 

・貸借の終了期間に取り決めがない場合、使用貸借(無償)は原則として、土地所有者や

土地の相続人から立ち退きを求められた場合、即時返却する必要がある弱い立場になる。

 

・使用貸借契約(無償)は貸主と借主間の信頼関係に基礎をおく契約なので、離婚や

看護の放棄など、当事者間の信頼関係が破綻していると、短い期間でも解約、建物収去、

土地明渡しを認められる可能性がある。

 

といった、有償の賃貸借契約と比較した際に弱い立場となる話です。

 

 

 

 

 

では、有償か無償化の線引きとはどこになるのかについてですが、

 

その線引きは、単に金銭を支払っているかどうかではありません。

 

権利金の授受の慣習がある地域であれば権利金、そして地代の支払いです。

 

 

また税務上、固定資産税相当額以下の金銭を負担していたとしても、

 

それは実費負担であり使用貸借(無償)扱いした判例があります。

 

つまり、固定資産税を負担していたからと言って、使用貸借(無償)より

 

強い権利(有償:賃借権)の主張はできません。

 

 

尚、権利金授受の慣習がある地域で、月々の地代支払いのみ(権利金の授受がなかった)

 

の場合、扱いは賃貸借(有償)となりますが、支払っていない権利金分は、地主から借り主に

 

贈与しものとして贈与税(認定課税)が課される場合があります。

 

 

 

 

有償・無償のどちらが良いのかについてですが、状況により良く検討する必要があります。

 

個人間、特に身内や親子間では、法人税の節税等の要素が少ないので、

 

権利金の授受や認定課税(贈与税)の心配がない使用貸借(無償)で土地を

 

使用することが多いのかと思いますが・・・

 

今回のように相談者と土地所有者(義母の内縁の夫)のような他人に近い関係から、

 

・将来的に義母と土地所有者が別れてしまう可能性がある

 

・そのことが原因で相談者との関係が壊れる可能性がある

 

・上記の状況から、明け渡しを求められ、裁判等で土地所有者に有利な判決が出ては

住まいに困る

 

・立ち退きしてもローン残高や支払いが残り、新たな住まいを確保する為の支払いと

当該ローンとの二重支払いは生活が困難になる

 

・万一、相談者(賃借人)が亡くなり使用貸借が終了すると、遺族が住まいに困る可能性が大

 

などの、「人間関係の破綻の可能性」「破綻した際に新たな住まいの確保が金銭的に困難」

 

といったリスクが色濃く予見でき、その解消や対策がないようであれば、無償・有償かの

 

判断には十分な注意と検討が必要ということです。

 

 

ちなみに、契約書の取り交わしについては、ローン審査の際に金融機関からも求められると

 

思いますし、無償・有償に限らず、契約内容を明確に証明できるよう取り交わすべきです。

 

 

 

無償(使用貸借)で契約を交わすのであれば、有償(賃借権)に比べ権利の弱さは有りますが、

 

経済的には助かったり、その分(土地の賃貸料や土地購入時のローンなど)の貯蓄等も

 

できる状況になると思います。

 

今現在の状況・人間関係だけで判断せず、「将来的な関係は本当に大丈夫か」

 

「立ち退きの際に住まいの確保やその為の資金計画等は問題ないか」それらを考慮して、

 

有償・無償どちらが有益なのか判断されると良いかと思います。

 

 

 

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