対象:住宅設計・構造
階段下の空間を物入れにする為、その空間の下半分は廊下側から上半分は階段横の洗面室部分から物の出し入れが出来るようそれぞれ扉をつける予定で設計平面図が書かれておりました。
しかし耐力壁配置図では廊下側の壁がたすき掛けの筋交いが入る図面となっていることが施工途中に判明し、そちら側の扉が取り付けられないので、全て洗面室側からの物入れにして欲しいとの連絡を受けました。
それは承諾することが出来ないとの旨を伝え、納得できる条件が提示されなければ解約も考慮しなければならないと伝えると、今度は急遽”検討した結果元の図面通りに扉をつけられます”との回答がありました。
掌を返したような話であり納得できないため、どのように図面通りに施工してくれるのか明日説明を受ける予定になっておりますが、たすき掛け耐力壁の下部に扉をつけるような施工は耐震上問題なく可能なのでしょうか?
補足
2009/03/02 22:23佐藤様、森岡様
さっそくのご回答ありがとうございます。
設計内容の変更を提案された理由は、当初予定していた位置では図に示されているように筋交いの隙間の小さな開口しかとれないためです。
(構造計算をした設計者と間取りを設計した設計者が異なっていた為のミスとの説明でした。つまり耐力壁配置図と間取りを示した平面図で矛盾した設計となっていたようです。)
それで最初は予定通りの位置に扉をつけられないとの説明だったのですが、解約を示唆したところ急遽、うまくやれば耐力壁はそのままで大きな開口をつけることができるとの連絡があり、内容の二転三転に不審を抱いた次第です。本日詳細説明を聞く予定ですので、疑問があればまた相談したいと思います。
また物件は木造3階建てであり、筋交いを他の場所に移動する為には申請が必要と思われましたので、申請内容と違う工事をされては困るとの旨も伝えたのですが、
営業さんの説明では、耐力壁の位置はそのままで工夫すればできるとのことであったので、いずれにせよ本日設計を交えて詳細説明を聞いてきます。
その際、気をつけて聞いておいた方が良い点などありましたらアドバイスお願い致します。
dark5210さん ( 兵庫県 / 男性 / 34歳 )
回答:2件
佐藤 靖生
建築家
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筋交いについて
dark5210さま、初めまして
佐藤靖生建築研究室と申します。
ご質問を読ませていただき、イメージしたことを(簡単ですが)イラストに
示しましたので、ご参考にしてください。
基本的に筋交いの斜材や柱などの構造材以外は利用が可能のスペース
ですが、金物などもあり狭いことが多いなどの制約があります。
多くはイラストのように三角形、逆三角など斜め部分が多くなり
建具の形の制約もありますね。
ご注意点は耐力壁を筋交いだけでは無く、壁に構造用合板などを貼って
併用している場合は、穴を開ける事で弱くなります。今回のご質問の
文面からするとパネル併用は無さそうですが、ご確認くださいね。
扉は斜材に合わせて変形にする必要も無く、普通の矩形の建具をつけて
扉を開けると、中が三角形の部分が見えるなどの工夫も出来ます。
(基本的には筋交いを避けるので、開口部は小さくなります)
また
設計内容の変更を提案された事がどんな理由か、相談されると良いでしょう。
たとえば
○工事の作業がやりづらいので、変更依頼をしたのか?
○それとも耐力壁として有効では無い為か?
いずれにしても色々な対応方法はありますので、ご相談などされれば
耐震性能と使いやすさの解決策は有ろうかと思います。
見当違いなど有りましたら、ご容赦ください。佐藤靖生より
補足
こんにちは、重複いたしますが、技術的には問題がないと思われます。
内容は前後しますが、箇条書きにて整理させていただきます。
○確認申請の関係で耐力壁(筋交い)の位置は変更しないことが得策です。変更したことで「検査済証」が受けられないなど問題があります。
変更は出来ますが申請上の手続きが面倒なので、その分の手数料が設計料として追加になることが考えられます。
○私の想像のイラストで示した「緑色」の部分は「パネルと併用」しない場合は空間として利用が可能です。
○初めのご相談内容の文面から、耐力壁は筋交い(斜材などの材料)で考えられていると思いましたが、パネルなどの面材と併用しているようにも感じられます。パネルを使う場合は「面」で支えるので穴を開けると「耐震性能」が下がりますが、昔ながらの斜材による「筋交い」は極端な話として筋交いを切るなどの材料を「痛める」意外は融通が利きます。
○耐震性能の「技術的」には筋交いによる「軸組み」とパネルなどの併用で難しい事はありません。
私の考えでは開口(建具などの収納)の為に耐力壁が取れない場合は
↓
その場所を軸組み+パネル(構造用合板)併用で補強する。
↓
それでも耐力壁が不足するなら、他の場所に耐力壁を追加する。
この場合は申請と異なる事と、壁の配置バランスなどの注意が必要です。
細かい状況が分かりませんが「技術的な問題」が他の問題かを整理して対応されることをお勧めします。
専門家との折衝は大変な事と、心中お察し致します。通常は設計者はお客様の代弁者なのですが、多くは下請けなどで強い立場が取れない場合がございます。
安直には言えませんが、けして無理なお話とは思えませんので応援いたします。
森岡 篤
建築家
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対応の可能性
dark5210さんこんにちは
パルティータ建築工房の森岡です。
状況が正確にわからないので、想像になりますが、
''筋かいを優先する場合''
たすき掛けの筋かいは、各方向、構造壁厚の約半分ずつを使います。
一方、扉枠は通常壁厚より大きいので、筋かいの場所に扉は付けられませんが、扉自体の厚みは2〜4cmと、筋かい片側より薄いので、筋かい片側で空いたスペースに扉を入れる事は可能です。
扉を開けると、もう一方の筋かいが一部見えるが、収納として何とか使える、ということはあるかもしれません。
もう一つの可能性は、''筋かいを他の場所に移動する''ことを考えているのかもしれません。
筋かいは、どこでも良いわけではありませんが、条件が揃えば、耐震性能が同等で移動できる可能性があります。
一昨年、建築基準法関係が変更となり、工事中の設計変更が大変やりにくくなっています。
ところが、木造2階建ては4号建物というジャンルで、資格を持った人は、確認申請に、筋かいの計算資料も図面も出す必要がありません。
資料を提出していないものは、変更したとしても申請も何もないことになります。
筋かい位置を変更することが、必ずしも悪いことではありませんが、適切な対応かどうか確認が必要ですね。
もし、筋かいを移動するという説明の場合は、確認申請の対応をどうするかを聞いてみて下さい。
説明を受け、疑問を生じるようであれば、一度専門家に相談されてはいかがでしょうか。
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