高い建物

こんにちは。カウンセリングセンター聴心館 国府谷です。精神医学や脳神経科学をベースに認知行動療法を中心とするカウンセリングをしています（医師法における診断・治療行為は致しません）。

ナシロさん，高い建物や空を見ると恐怖心が出てくると言うことなのですね。そこから，何か不都合な症状などが，出てくるでしょうか？ そこのところを確認したいと思います。

さて，少し説明させて下さいね。人間には，普段の目線で見慣れないものを見ると，不安や恐怖を自然に感じるようにできています。恐怖を感じても，異常なのではなく，当たり前の感情なのです。このことが，人類を今まで生存させてきました。危険な動物の気配を感じて，恐ろしくなるから用心する。その結果，生き延びてくることができたのです。

高所恐怖症という精神疾患があります。これは，高いところで恐怖を感じるから病気なのではありません。だれでも，ビルの屋上から下を見たら，落ちるのではないかと恐怖を感じます。それが自然な感情で，危険から人を遠ざけてくれているのです。

それでは，高所恐怖症というのはどういうことかというと，例えば，階段を数段上るともう恐くなる，エスカレータなどは高さを感じて乗ることができない，そんな状態で，ごく普通の人の日々の生活と同じ事が，恐怖でできなくなることが問題になります。

そこで，ナシロさんが高い建物や空を見て恐怖を感じること自体には問題はないのですが，空が恐くて外出ができないとか，窓の外をみることができないといった問題が出たときに，特定恐怖症として病気の問題になります。

ですから，そうした問題が出ない限り，怖さを感じても，ちゃんと自分のチェック機能が働いているなと考えれば良いのです。恐怖症の治療は，恐怖そのものを取り去ることではなく，恐怖により生活ができなくなる支障を取り除くこと，適切な恐怖を残すことが大切なのです。

ナシロさんの恐怖は，ごく自然な感覚ですから，そのまま受け入れて下さい。何か気になることがあれば，いつでもご相談にのります。