対象:住宅設計・構造
野平 史彦
建築家
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子供部屋なんかいらない!
(丁度、私が主催する船橋建築塾の最近のテーマですので、簡単にお話させて頂きます。)
日本人の住宅取得の主な動機が、学齢期の子供に個室を与えるため、と言われます。親が子供の頃、自分の部屋を持てなかったから、せめて自分の子供には個室を持たせて上げたい、という親心なのかもしれませんが、日本の歴史の中で「子供部屋」という世界的に見ても珍しい言葉が生まれたのはつい最近の事です。
日本独特の「子供部屋」の特徴は、その部屋を所有する子供以外、親でも勝手に立ち入る事ができない治外法権の場である、ということです。
子供を叱る、というのは実にエネルギーのいることで、子供がぐずると欲しがるものは何でも買い与え、子供のご機嫌を取っている方が、親としてはずっと楽ですから、「子供部屋」を与えてしまった方が、親としてもずっと気楽なことだと言えます。
今はネット時代、携帯時代ですから、部屋に籠っていても世界中のあらゆる情報を入手することができます。しかし、そこには''本来のコミュニケーション''はもはやないのではないかと思います。
''本来のコニュニケーションとは、人と人が目を合わせて会話すること''です。
子供を育てることの意味を「自分の力で生きてゆく力を身につけさせてあげること」であると仮定すれば、家というのは、子供達に本来のコミュニケーションを学ばせる装置でなければなりません。
そう考えれば、「子供部屋」という言葉はナンセンスで、そのような部屋はいらない、と言ってもいいでしょう。
補足
一般に「子供部屋」と呼ばれる部屋にはベッドと机があります。即ち、寝室であり、勉強部屋であるということです。しかし、寝室と勉強部屋が一緒である必要はありません。この2つの機能を分ければ、寝室は例えば寝台列車のようなスペースでも構わない。
勉強部屋は部屋である必要は無い。広いリビングを家具で仕切ってコーナーを造ればそれでいい。廻りがうるさくて勉強ができない、などと文句が出る様ではまだ集中力が足りないし、社会に出て静寂な個室で仕事をさせてくれるところなどありはしない。''子供は大いにノイズのある環境で育てた方がいい''。
子供はあっという間に成長し、家を出る。子供がいなくなれば、子供の勉強コーナーは必要なくなるから、リビングは広々して趣味のスペースになるし、親の老後は、そこは介護ベッドなどのスペースとなる。(例えばの話し)
とっても極論ですが、ご参考まで。
(じきにコラムで「子供部屋なんかいらない!」シリーズを掲載させて頂きます。)
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この回答の相談
家の新築を考えていますが、子ども部屋をどうしようか迷っています。
部屋の広さや位置など、どういう点に気をつけたらいいのでしょうか?
いいアイデア・実例があれば教えてください。
※この質問は、ユーザーの方から事前にいただいたものを、専門家プロファイル が編集して掲載しています。
All About ProFileさん
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