対象:住宅設計・構造
森岡 篤
建築家
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専門的判断が必要
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kentさんはじめまして。
パルティータ建築工房の森岡と申します。
良くお調べになっていらっしゃいますね。
ご質問の中で確認したいのですが、L字型擁壁とは、図の形状のRC擁壁で、kentさんの(検討中)敷地は、高い方の敷地と考えてよろしいでしょうか。
「北側擁壁から約50cmのからに2階建ての建物」は、kentさんの(高い方の)敷地に建っているのでしょうか、隣地低い方でしょうか。
図の関係として進めさせていただきます。
中高層のビルやマンションの場合、建物重量が重いため、その重量を支えるために、堅牢な地盤や基礎が必要で、調査、設計のプロセスが明確です。
杭であれば支持層は原則N値50以上、杭を使わない直接基礎なら十分な支持層としての質、地耐力が必要です。
一方住宅はビルと比べるとずっと軽いので、同じような基礎の考え方では不経済になってしまいます。
そのため、ビルではあり得ないような地盤でも良しとされ、多くの家が建てられています。
それでも、安易に考えると不動沈下などに遭うことになります。
ある意味では、住宅の地盤の判断は、高層建物の地盤よりも難しいと言えます。
安全で経済的な地盤、基礎をつくる原則は、できるだけ多く客観的データ(敷地のボーリング調査、周辺のデータ)を集め、合理的に地盤を推察把握することです。
擁壁があり、場所によりバラツキがある場合、立体的に全体を判断することが必要です。
<字数制限、追記>
補足
ご心配はごもっともで、地盤改良をやった(杭を打ったから)だけで、安心、ということでは決して妥当性を検証する必要があると思います。
(1)のご質問は、鋼管杭先端と図の擁壁底版との間隔が20cmあるということでしょうか。
埋め戻しでも、掘削した土(粘土や表土)の場合はフワフワでいくら転圧しても支持層になり得ないのですが、砕石や砂を正しい工法で設置すれば十分強固で最初から支持層にできることもあります。
要は、工事の質に依存するのです。
擁壁があり、盛土厚が異なる場合、ご指摘のように、不同沈下に最も注意する必要があります。
中間層や深い部分の沈下についての判断は、詳細なデータ(土質やより深い部分のN値など)が必要です。
これらは、高度な専門的判断が必要です。
ボーリング調査データ、周辺データを集め、地盤に強い構造専門家(私もそうですが)に相談されることをお勧めします。
もう一つ、これから家を建てるのであれば、住宅保証協会などの地盤の保険を使うのが良いと思います。
品確法で、構造体が10年保証となっており、家の傾きも項目には入っているのですが、工事者の倒産の可能性を含め保険を使うと安心できます。
構造体の保険:性能保証制度には、地盤は含まれないのでお気を付け下さい。
地盤保証のもう一つのメリットがあります。
地盤の保険に加入することで、保険会社側は(できるだけ保険金を払わないために)、地盤の事故が起きないような、さまざまな要求を言ってきます。
これを工事側に守らせることが、地盤の沈下などの事故を防ぐことにつながります。
参考にしていただけたら幸です。
評価・お礼
kent さん
ありがとうございました。
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この回答の相談
初めてメールさせていただきます。小生素人の質問で申し訳ございません。以下の点ご教授いただければ幸いです。
■土地建物概要
・北側に3mのL字型擁壁がある北斜面の建物です。
・土地が… [続きを読む]
kentさん (神奈川県/39歳/男性)
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