対象:住宅設計・構造
森岡 篤
建築家
3
陸屋根はより慎重に
ボンさん、はじめまして。
パルティータ建築工房の森岡と申します。
四角い家、いいですね。
屋根は、風雨や日射にさらされた過酷な環境で、四角い家の平らな屋根は、勾配屋根に比べ、雨仕舞いが難しく、より慎重につくる必要があります。
水平の屋根では水が溜まってしまうので、水平に見えても必ず緩やかな勾配(1/100〜1/20)がついています。
水平の屋根をつくるのに、大きく、シート防水やFRP防水のような防水でつくる方法と、金属板で葺く方法があります。
防水の場合は、通常、外周にパラペットと呼ばれる壁を立ち上げ、プールのように水を溜め、水を集めて(ドレイン)、放出します。
金属屋根で良く使われる平葺き(一文字葺き)は、勾配が必要で、水平(緩勾配)の屋根には使えません。
金属屋根で緩勾配に使えるのは、立ちハゼ系の、立ちハゼ葺き(スタンディングシーム)、瓦棒葺き、折板(セッパン)等、のみです。
いずれも雨仕舞いの原理は同じで、U型やV型断面の継ぎ目のない長尺(長く製作)で、ある程度水を溜める事が可能で、1方向に流します。
流れる側の端部は、勾配屋根と同じように、樋で水を受け、流します。
立ちハゼ、瓦棒葺き、折板、いずれも性格は似ていますが、折板は高さが高い分、雨には強いです。
夏至近くには、太陽高度が高くなるので、水平の屋根面は非常に高温になり、暑さ対策は重要です。
十分な断熱だけでなく、2重構造で通気(換気)を取ることが必要です。
勾配屋根に比べ、温度差で換気が取りにくいので、難しいと言えます。
金属板屋根は音が出やすいですが、温度対策の2重構造と断熱(吸音)で、かなり和らげることができます。
参考にしていただけましたでしょうか。
(現在のポイント:1pt)
この回答の相談
住宅情報誌を見て勉強中ですが、四角い家が格好いいと思います。
でも、ほとんど屋根が写真に写っていないので、どうなっているか分かりません。
友人に、セッパンと言って、工場と同じ様な波形の鉄板と聞いたのですが、雨の音や、夏の暑さはどうなのでしょうか?
ボンさん (静岡県/37歳/男性)
このQ&Aの回答
このQ&Aに類似したQ&A