- 木村 和夫
- 有限会社 木村爽健 代表
- 東京都
- 鍼灸師
対象:体の不調・各部の痛み
- 奈良 修次
- (鍼灸師 臨床検査技師)
人間は、本人が納得する、腑に落ちると急にがんばれるようになる生き物のようです。逆に他人からの強制や義務感で何かをしても身につく可能性は低い。
私は今でこそ海外に行って、英語をそれほど困らずに使っていますが、中学生の頃は英語大嫌い人間でした。
それが、英語を積極的に覚えようと思ったきっかけは、始めての海外旅行です。
私の初海外旅行は、高校一年生の夏、アフリカのケニア。父親が決めた行き先です。
それまで海外旅行に行けると喜んでいた母親や母親の妹家族は、行き先を聞いてドン引き。結局、私と父親二人での海外旅行となりました。
飛行機はインド乗り換え後、ドバイ給油ケニア行きでした。インドでは、航空会社のストライキでインドに数日滞在。最初からトラブル発生です。
二日遅れでケニア行きの飛行機に乗り込みました。当時、飛行機を新幹線くらいに考えていた父親は、ドバイ空港で給油待ちしているときに、外の空気を吸いに出ようと言いだしました。
そして、何もルールを知らない私と父親はタラップを降りて空港へと入ります。
20年前のドバイ空港は、湾岸戦争前で緊張していました。実際、私と父親が申し込んだケニアツアーも、元々はキャンセル待ちが出るほどの人気ツアー。
ところが、中東の緊張が高まったために、大量のキャンセルが発生。キャンセル待ち20番くらいだった私たち親子は、ツアーに参加できることになりました。そのツアーは、最小催行人数10人を下回る8人。この話は、ツアーの途中で添乗員さんから聞きました。
ドバイ空港に入ると、ライフルを持った兵士が、ドアの左右、カウンター付近、椅子の付近とパッと見ただけでも10人くらいいます。
また、入国カウンターに並んでいるのは、カメラバックを肩から下げたジャーナリストと思しき人しかいません。
私と父親は、椅子に座り飴を舐めて休憩していました。
「海外の空港は、兵士がいるんやな。」
「物騒だね。」
そんな会話をしていました。
しばらくすると、近くにいた兵士が父親に英語で話しかけてきました。
父親は全く英語が聞き取れないのですが、
「とりあえず、YES。」
と、何度もYESを連呼。
私はその兵士の言うことが少し聞き取りできて、ここで降りるのかと聞いてるんじゃないかと思ったのですが、父親があまりに素早く答えたので、口を挟む余地がありませんでした。
兵士は納得した顔をして、元の位置に戻りました。
しばらくすると、ツアー旅行の添乗員さんが、ダッシュで空港に飛び込んできました。
開口一番
「何で降りているんですか!機内アナウンスで、降りないでと日本語で言ってたじゃないですか!」
身長150cmの眼鏡をかけた小柄な添乗員さんが、大きく見えるくらいの剣幕です。
「早くしないと飛行機が離陸します。急いで!」
私たちが席を立って飛行機に向かおうとすると、先ほどの兵士が添乗員さんを制止します。
あきらかにもめていることが、会話のトーンからわかります。兵士は父親を指差して何かを言っています。
「何で降りると言ったんですか!」
もう、添乗員さんの怒りはマックスでした。
「何かわからんから、YESて言ったんですけどね~。」
悪びれずに父親が答えると、再び添乗員さんは兵士と会話。
唯一聞き取れたのは、
「He cannot speak English!」
その通りでございます。
その後、添乗員さんの剣幕にしぶしぶ兵士は飛行機に向かうことを許可。添乗員さんに急かされて空港から飛行機へと向かいます。
空港をでようとすると、私たち三人以外に兵士6人がついてきます。私たちを囲む形で前後左右にぴったりマーク。
「ゴー、ゴー、ゴー!」
戦争映画で聞いたことのあるセリフを兵士のリーダーらしき人が叫びながら走ります。
私たちを守っているのか、私たちを警戒しているのかわからないまま、飛行機のタラップまで綺麗な陣形を保ったまま100mほどの距離を走ります。
タラップに着く頃には、飛行機はすでにエンジンをふかして、今にも離陸のために動き出そうとしています。
私たちが飛行機に乗り込むと、即座にドアが閉じられました。スチュワーデスに座るように促されながら、私たち三人は機内にいる乗客の好奇の的に。
「間に合って良かったですね。ここは戦争前で緊張した場所なので、空港で下手に騒いだら拘束されてましたよ。相手の話が本当に理解できない時は、簡単にYESなんて言わないでください!」
もう添乗員さんに頭があがりません。
この後、父親は懲りずにyesを連呼してトラブルを色々なところでしでかすのですが、私は
「英語覚えないとやばい、下手したら悪くないのに捕まっちゃう。」
と、相当な危機感を覚えました。
日本に帰ってから、私は英会話を習ったり、真面目に英語を学ぶようになりました。
程なく英語への苦手意識はなくなり、ボンジョビやエアロスミスといったロックを聞くようになり、英語の歌を唄う練習をするようになりました。
何時の間にか英語での会話も少しずつできるようになっていました。
ちなみに、父親は最近英会話をはじめました。その気になるまでだいぶかかったようです。
このコラムの執筆専門家
- 木村 和夫
- (東京都 / 鍼灸師)
- 有限会社 木村爽健 代表
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