いまや、事業者でなくても、インターネットを通じて、老若男女が商売できる時代です。
高校生がネット商売で年数千万円稼ぐことも、珍しくないといいます。
また、その商売の形態もさまざまです。
電子商店街に出店し、商品の販売をしたり、
ブログなどのソーシャルメディアに広告を貼り付けてアフェリエイト収入を手にしたり、
また、ネットによる株取引、FX取引も盛んに行われています。
ネットでの取引は、すべてパソコン上で取引ができるため、
固定経費がほとんどかからず、短期間で大きな利益を出すこともできるようです。
手軽さからか、「利益が出たら税金を払わなければならない」ということ自覚していなかったり、
帳簿などを適切につけていなかったり、
ネット取引に関しては多額の利益が出ているにもかかわらず無申告であるケースが非常に多く、
税務当局も調査の目を光らせています。
実際に、平成23年度においては、インターネット取引をしている個人に対して、
実に2,200件の税務調査が入っています。
申告漏れ所得の総額は250億円にのぼり、
1件あたり1,100万円もの所得漏れが指摘されていることになります。
ネット取引のうち、申告漏れ所得が最も多いのが、
株取引やFX取引などのネットトレードで、1件当たりの平均が約2,000万円です。
株取引の場合には、税金に詳しくなくても、証券会社に源泉徴収有りの特定口座を開設しておけば、
源泉徴収を通じて納税ができるため、申告漏れになることはあり得ませんが、
FX取引については、株取引よりも身近であるにもかかわらず、
この特定口座の仕組みが存在しないため、意図せず無申告になっている人も多いのではないのでしょうか。
無申告の場合には、通常の納税額のほか、
ペナルティとして、納税額の約20%もの無申告加算税と、
納税額に対し年14.6%で計算した延滞税を納税しなければなりません。
悪質な所得隠しと認められてしまえば、無申告加算税の代わりに、
35%の税率で重加算税が課税されることもあります。
もし、「個人のネットでの取引は、税務当局も把握できないだろうから、
税金なんて払わなくたって大丈夫」、なんて考えていると、とんでもなく痛い目にあいます。
当局は、より一層の調査の強化を図ると宣言しています。
ネット取引をする人は、余計な税金を払わなくて済むよう、どれだけ取引をして、
どれだけ稼いでいるのかを把握し、確定申告をする習慣を身に着けていかなければなりません。
このコラムの執筆専門家
- 大黒たかのり
- (東京都 / 税理士)
- 大手町会計事務所 代表税理士
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