中国第4次専利法改正案の公表 (第2回) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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中国第4次専利法改正案の公表 (第2回)

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中国第4次専利法改正案の公表 (第2回)

~法改正によりプロパテントの方向へ~

河野特許事務所 2012年9月27日 執筆者:弁理士  河野 英仁

 

4.無効宣告請求の決定効力発生時の明確化

 現行法では、復審委員会の無効決定または特許維持決定についての効力発生時が明確ではなかった。そこで改正案では、特許権を無効とする決定または特許権を維持する決定を下した後、国務院特許行政部門は適時に登記公告しなければならず、当該決定は公告日から効力が発生すると規定した。ただし、復審委員会の決定後、北京市第一中級人民法院に上訴された場合は、北京市第一中級人民法院での判決が確定した後、さらに北京市高級人民法院に上訴された場合は、北京市高級人民法院での判決が確定した後に、最終的な決定の効力が発生する。

 

 また無効審判と並行して特許権侵害に係る民事訴訟が人民法院に係属していることが多いことから、特許権を無効とする決定または特許権を維持する決定の効力が発生した後、特許業務管理部門及び人民法院は当該決定に基づいて、特許権侵害紛争を適時に審理、処理しなければならないと改正案は提案している。これにより人民法院及び特許業務管理部門での審理の迅速化を図るものである。

 

現行法

改正案

第46条

 特許復審委員会は、特許権の無効宣告請求に対して迅速に審査及び決定を行い、かつ請求人及び特許権者に通知しなければならない。特許権無効と宣告した決定は、国務院特許行政部門が登録と公告を行う。

 特許復審委員会の特許権無効宣告又は特許権維持の決定に不服があるときは、通知を受領した日から3ヶ月以内に、人民法院に提訴することができる。人民法院は無効宣告請求の相手方当事者に第三者として訴訟に参加することを通知しなければならない。

第46条

 特許復審委員会は、特許権の無効宣告請求に対して迅速に審査及び決定を行い、かつ請求人及び特許権者に通知しなければならない。特許権無効と宣告した決定は、国務院特許行政部門が登録と公告を行う。

 特許権を無効とする決定または特許権を維持する決定を下した後、国務院特許行政部門は適時に登記公告しなければならない。当該決定は公告日から効力が発生する。

 特許復審委員会の特許権無効宣告又は特許権維持の決定に不服があるときは、通知を受領した日から3ヶ月以内に、人民法院に提訴することができる。人民法院は無効宣告請求の相手方当事者に第三者として訴訟に参加することを通知しなければならない。

 

専利法第60条第4項(新設)

 特許権を無効とする決定または特許権を維持する決定の効力が発生した後、特許業務管理部門及び人民法院は当該決定に基づいて、特許権侵害紛争を適時に審理、処理しなければならない。

 

5.特許業務管理部門の職権による侵害行為に対する処置

 故意侵害、繰り返し行われる侵害、集団侵害等の悪質な侵害行為に対しては、特許権側の費用負担が大きく、権利行使を躊躇せざるを得ない。このような悪質な侵害行為を放置すれば特許権者の合法的権益を害するのみならず、市場秩序を害し特許制度の権威を低下させることにもなる。

 

 そこで、改正案では取引秩序の安定化を図る側面を持つ商標法の規定を取り込み、特許業務管理部門が職権にて市場秩序を乱す侵害行為に対し、調査した上で処置することができるようにした(改正専利法第60条第3項)。そして、侵害行為が成立し、かつ市場秩序を乱したと認定した場合、特許業務管理部門は侵害行為の停止を命じ、不法所得を没収し、かつ、侵害製品、または侵害行為を実施するための専用設備を没収、廃棄することができるようにした。

 

 さらに、当該侵害行為に対しては、侵害者の不法所得4 倍以下の罰金を科し、不法所得がないかまたは不法所得が算定できない場合は、20 万元以下の罰金を科すことができることとした。

 

 また、改正専利法第60条第3項の調査及び処置を行う主体は原則として各地方の特許業務管理部門であるが、多地域にわたる侵害行為などの場合は、国家レベルでの統一的な処理が必要であることから、国務院特許行政部門が中心となり調査した上で処罰することができるようにした。実際に特許業務管理部門が、私的財産である特許権を保護すべく職権でどの程度調査し、処置してくれるかは不明であるが、少なくとも本規定の設立により悪質な侵害行為に対する抑止力が生じるであろう。

 

現行法

改正案

 

専利法第60条第3項(新設)

 市場秩序を乱す嫌疑がかかる特許侵害行為に対し、特許業務管理部門は法律に基づいて調査した上で処置する権利を有する;全国において重大な影響がある場合、国務院特許行政部門により組織し調査した上で処置する。侵害行為が成立し、かつ市場秩序を乱したと認定した場合、特許業務管理部門は侵害行為の停止を命じ、不法所得を没収し、かつ、侵害製品、または侵害行為を実施するための専用設備を没収、廃棄することができ、かつ、不法所得4 倍以下の罰金を科し、不法所得がないかまたは不法所得が算定できない場合は、20 万元以下の罰金を科すことができる。

 

                                                              以上

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