早わかり中国特許:第18回 補正要件 第2回 (3) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
河野特許事務所 弁理士
弁理士

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:特許・商標・著作権

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

早わかり中国特許:第18回 補正要件 第2回 (3)

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 特許・商標・著作権
  3. 特許・商標・著作権全般

早わかり中国特許

~中国特許の基礎と中国特許最新情報~

第18回 補正要件 第2回  (3)

河野特許事務所 2012年12月3日 執筆者:弁理士 河野 英仁

(月刊ザ・ローヤーズ 2012年10月号掲載)

 

コラム

中国第4次専利法改正案の公表

~法改正によりプロパテントの方向へ~

 

1.概要

 2012年8月9日国家知識産権局は第4次専利法改正案を公表した。専利法の改定作業は2011年11月頃から進められた。

 現在の専利法の枠組みでは損害賠償額の立証が極めて困難であり、訴訟コストに対して得られる損害賠償額は少なく、特許権者の保護を十分には図ることができないという問題があった。調査によれば3割の特許権者が何らかの侵害問題に遭遇しているが、実際に権利行使を行ったのは1割にすぎない。

 そこで、特許権者側の損害賠償額の立証負担を軽減し、より早期にまたより強固に特許権者を保護すべく第4次専利法改正案が作成された。現在国家知識産権局は2012年9月10日を期限として意見募集を行っている。改正点は以下のとおりである。

 

2.損害賠償額の立証負担の軽減

 現行専利法第65条第1項では、「侵害者が侵害により得た利益に基づいて」損害額を算定することができる旨規定しているが、訴訟実務では被告側が売上データ等を秘匿することにより、当該損害額を立証することができないことが多い。

 そこで以下のとおり、原告等の請求により、帳簿等の各証拠を人民法院に調査収集させることとしたものである(改正専利法第61条第3項)。

「特許権侵害訴訟において、被疑侵害者が把握している侵害被疑物件及び帳簿、資料等の証拠に対し、人民法院は原告またはその訴訟代理人の申請に基づいて法律により調査収集しなければならない。侵害被疑者が証拠を提供しないか、または証拠を隠匿、偽造、湮滅する場合、人民法院は法律に基づいて、民事訴訟妨害に係る強制措置を講じる。」

 

 また中国においては司法アプローチとして人民法院に提訴する他、行政アプローチとして各地方の特許業務管理部門に対し侵害行為の停止を請求することができる。そこで、人民法院と特許業務管理部門の双方に対して、特許侵害事件の調査及び証拠収集の手段を付与している(改正専利法64条)。

 

 また、行政摘発の場合現場において被疑侵害者が暴力等で摘発に協力しないこともあることから、行政摘発の執行官の公務執行を妨害する場合の責任も明確に規定している(専利法第64条第2項)。

 

 

現行法

改正案

 

第61条第3項(新設)

特許権侵害訴訟において、被疑侵害者が把握している侵害被疑物件及び帳簿、資料等の証拠に対し、人民法院は原告またはその訴訟代理人の申請に基づいて法律により調査収集しなければならない。侵害被疑者が証拠を提供しないか、または証拠を隠匿、偽造、湮滅する場合、人民法院は法律に基づいて、民事訴訟妨害に係る強制措置を講じる。犯罪となる場合、法律に基づいて刑事責任を追及する。

第64条

 特許業務管理部門は、既に取得した証拠に基づいて特許詐称容疑の行為を調査するとき、関係当事者に尋ね、法違反被疑行為に関する状況を調査することができる。当事者の法違反被疑行為の場所に対し、現場調査を行うことができる。法違反被疑行為に係る契約、領収書、帳簿及び他の関連資料を調べ、複製することができる。法違反被疑行為に係る製品を検査し、特許詐称をしたと証拠により証明された製品を差し押さえるか又は留置することができる。

 特許業務管理部門が法律に基づき前項に規定された職権を行使するとき、当事者は協力しなければならず、拒否、妨害をしてはならない。

第64条

 特許業務管理部門は、既に取得した証拠に基づいて特許権を侵害する行為及び特許詐称容疑の行為を調査するとき、関係当事者に尋ね、法違反被疑行為に関する状況を調査することができる。当事者の法違反被疑行為の場所に対し、現場調査を行うことができる。法違反被疑行為に係る契約、領収書、帳簿及び他の関連資料を調べ、複製することができる。法違反被疑行為に係る製品を検査し、侵害製品である或いは特許詐称をしたと証拠により証明された製品を差し押さえるか又は留置することができる。

 特許業務管理部門が法律に基づき前項に規定された職権を行使するとき、当事者は協力しなければならず、拒否、妨害をしてはならない。調査される当事者が、特許業務管理部門の職権行使を拒否、妨害する場合、特許業務管理部門は警告を与える。情状が重大である場合は、法律に基づいて治安管理処罰を科す。

 

(第4回へ続く)

中国特許に関するご相談は河野特許事務所まで

 

 |  コラム一覧 | 

このコラムに類似したコラム