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旅館の土曜日料金はなぜ高い?

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需要と供給の差

旅館に少しでも安く泊まりたいと願うのは、誰もが同じ思いだろう。

ところが、泊まりに行けるのは土曜日が多く、その土曜日は必ずといっていいほど高い。

「平日は安いのに~」と思った方は少なくないだろう。

需給バランスの結果、「土曜は需要が多いので高い」といえばそれまでだが、差が大きい宿もあれば、小さな宿もある。

その差は何なのだろうか。


なぜない標準料金

まず、その前に、何を見て「土曜は高い」とおっしゃっているだろう。

その多くが、数多くある「宿泊プラン」の料金ではないだろうか。

その前に「標準料金表」がその宿にあるかどうか。

それが、その旅館の良し悪しを判断するひとつの指針だと思う。

 

実は多くの旅館のホームページには「標準料金表」が載っていない。

数々の宿泊プランで料金を判断する方式が多い。

これは「料金はその都度、旅館の都合で変えます」と言っているようなもの。

そうではない旅館あれば、標準料金表を加えたほうがいい。

標準料金を載せるということは、価格に自信のある証拠だからだ。

 

なぜ「料金をその都度変える」のか。

口悪く言えば、銀座の寿司屋のようなもので「時価」だからだ。

ただし、最近では、シティホテルも航空会社なども全て「時価」になっている。

需給バランスをみながら、需要が弱ければ安く、需要が多い日は高く、自由に設定できるのだが、旅館もそれにならっているのだ。

 

1泊2食の罠

しかし、シティホテルや航空会社と、旅館の間には大きな違いがある。

それは、前者は「客室や座席」というコモディティ(空けておくより安くても埋めた方がいいし、価格によって品質の差はない)であるのに対し、旅館は「1泊2食制のため(原価によって変わるはずの)食事も含まれる」点だ。

このへんを、旅館の予約システムを作る会社はわかっていない(ホテルと同じだと思っている)。

つまり、安く売るということは、食事の内容まで落ちるおそれがあるということ。

すなわち、安いプランは、季節や曜日・客室の種類で安くなるだけではなく、時として「食事の内容まで勝手に落とす」ことで安くしていることもあるのである。

 

土曜日が通常料金

つまり、「土曜が高い」のではなく、「平日が安い」のである。

しかも「安くなっているが、食事内容を確認したほうがいい」場合もある。

そう言われると、「井門は旅館の代弁(土曜が高い言い訳)をしているのでは」と思われるかもしれず申し訳ないのだが、旅館の1泊2食を(想像で)分解して考えてみて欲しい。

土曜日は、「通常の客室料金」に「通常の食事料金」で成り立っている。

平日は、「割引した客室料金」に「通常の(時として内容を落とした)食事料金」なのだ。

その差があまりにも大きい時は、食事内容で調整しているのだ。

 

差が小さいほど「よい旅館」

「週末と平日の料金差」が小さい旅館ほど「よい旅館」である。

まずは、差が大きな旅館は、食事内容を落としているおそれがあるということ。

加えて、平日が安いということは、平日にお客様がいないということ。それだけ「リピーターや地元客が集客できていない」と推測できるからだ。

せいぜい、その差は土曜日の1割引き程度までであろう。


数々のプランは料理の差

数々の宿泊プランは、少しでも平日の単価を上げたい(落としたくない)ための手段だ。

客室料金は落とさなくては集客できない。しかし、少しでも単価(原価)の高い料理を食べて欲しい。そのため、料理のグレードアップのプランが多い。

それが数多くなりすぎて、何を選べばいいのかわからなくなっている。

旅館は、あわよくば、一番安いプラン(料理内容を落としている)ではなく、料理グレードアッププランを選んで欲しいと願っている。

が、何がお得なのかわからないので、利用者は一番安いプランを選んでしまう。

 

割引された平日料金を基準としてしまうための誤解

標準料金がないということで、スタンダードになっているのが「~(から)料金表示」。

「○○○円~」

という表示が旅館料金を表す標準形になっており、その料金は割引された「平日」料金が基準になっている。

そもそもこれが「土曜は高い」と誤解される根本原因だ。

さらに料金表も「平日」が基準になり「休前日は○○円アップ」と書いてしまうのも誤解をさらに助長している。

 

これを助長したのは、旅行会社のパンフレットだ。

とにかく安い料金を見せて、旅行に出かけてもらいたい。

そう願う商業主義が、旅館の料金を複雑にした。

中小企業である旅館業界にはマーケティング機能がなく、旅行会社に依存してきたせいもある。

 

それを正常に戻す手段はただひとつ。

どの旅館も「標準料金」表を示すことだ。

できないのであれば、永遠にこの誤解は続くであろう。

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(東京都 / マーケティングプランナー)
株式会社井門観光研究所 代表取締役

旅館業を知りつくした「観光地再生」の仕掛け人

20年の旅行業経験や10年にわたる旅館事業再生の現場を通して得た独自の知見とノウハウを持つ「旅館アナリスト」。「旅館業と地域との連携」や「インバウンド受入推進」等を通じて、新しい時代に対応した「地域の仕組みづくり」の実践を支援しています。

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