- 井門 隆夫
- 株式会社井門観光研究所 代表取締役
- 東京都
- マーケティングプランナー
対象:イベント・地域活性
- 宮崎 隆子
- (日本産精油スペシャリスト)
- 宮崎 隆子
- (日本産精油スペシャリスト)
観光客は要らない!?
観光による地域活性化を仕事としていると、必ず地域で出あう問題が「観光客は要らない」という住民の声。たしかに、かつて(今でも?)観光客は「渋滞とゴミ」しか持ってこなかった時代がありました。週末には救急車も走れず、地域に不満と不安を残しました。
観光を業とする者はそうした「観光」のデメリットを理解し、週末一極集中型観光を改めなくてはなりません。それをせずして地域に観光を語るのは弱すぎます。
「観光」は地域にキャッシュをもたらす重要な産業です。
ところが、現金商売がゆえに「水商売」とささやかれ、「発展途上国の産業」と言われ、旅行業世界最大手のJTBでさえ日本では経済団体にすら入れません。今でこそ完全に変わりましたが、お役所では観光といえば掃きだめセクションと呼ばれた時代もあったと聞きます。
そうした「古い時代の発想」を一掃することが、観光地活性化の最初の仕事というのも哀しいのですが、重要な仕事なのです。
「観光」は、ストックを抱えることなく、キャッシュ・フローを地域にもたらす産業です。一方でレバレッジ(てこの原理)が利きません。製造業のように工場を作り、製品を生み出すことで収穫逓増型ビジネスとすることができません。失礼な言い方をすれば、不労所得を生み出せない実業です。古い人種の方がおっしゃる「アタマを下げる仕事」です。そのため、アタマを下げずに不労所得で稼ぐ商売が男意気だと見栄を張る男性に観光を語るのは、たいへん難儀します。
現在、日本の産業は、長きにわたり続くデフレで生きながらえています。低金利で資金を調達できることでつないでいます。これが、万一、インフレに転じることがあったらどうなるのでしょう。
観光とは、「女性、若者、移住者や外国人、リタイヤしたシニア」にとても親和する産業です。建設業が地方の男性の雇用を支えてきたとすれば、旅館業は地方の女性の雇用を支えてきました。ダメ観光地の典型は、男性しか会議に出てこない地域。観光は弱者産業と言う地域。ただ、そうした男の見栄の張り過ぎは、今では「死ぬまで待とう」と陰口たたかれるのがオチですので気をつけて。
観光は地域社会を支えるツール
不労所得や生活保障に頼らず、一人ひとりが小さな所得を生み、生産性を高めていく社会のツールとして観光はとても有効。フランスをはじめヨーロッパの先進国はずっとそうしてきました。観光は、農林漁業・教育・福祉といった他業種とも親和性が高く、むしろそうした産業と連携していくことで生きてきます。観光でキャッシュを稼ぎ、他産業に投資する。そうした地域の経済循環が、次の時代の日本の地域を支えていくことでしょう。
ただし、不安定な集客は、観光のデメリットばかり強調します。シーズン・曜日かかわらず、交流人口を増やし、この地域に定住してみたいという人たちを生む「需要の平準化」こそ現代「観光」の理念です。
そのために、「平日の宿泊需要」「連・転泊需要」「外国人需要」「リピーター」の創造や、そのための「新しい事業モデル」が必要なのです。そうした事業モデルを創っていきましょう!
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