- 鈴木 克彦
- 株式会社マクス 代表取締役
- 建築家
対象:住宅設計・構造
前回書きましたが、床暖房は、その30℃前後の床から発生する輻射熱により暖かくなります。
床から発生する輻射熱は赤外線なので、赤外線ストーブ同様、床暖房は赤外線暖房の一種です。
人間が温かいと感じる赤外線は、波長によって決まり、7〜10μm(マイクロメートル)程度の波長の赤外線が心地よいとされています。
この波長は、太陽光線の中の赤外線とほぼ同じです。
30℃前後の物体から放出される赤外線の波長は、太陽光線と同じ7〜10μm程度の波長の赤外線です。
つまり、床暖房によって、床が30度前後まで暖められると、太陽光線と同じ7〜10μm程度の波長の赤外線が床から放出され、それが人間に当たると、皮膚下2ミリほどにある温度を感じる感覚点(ルフィニ小体:温点)を刺激し、暖かさを感じる訳です。
この暖かさを感じる温点は、手のひらや、足の裏・下半身に密集しています。
「床暖房が日なたぼっこと同じ様だ」
と言われるのは、この様な理屈に依ります。
たき火を考えてみましょう。
寒い冬でも、たき火に当たるととっても暖かいですが、それはたき火に面している側だけです。
反対側は寒い。
これは、赤外線が当たっている部分だけが暖められているからです。
前回書きましたが、熱の伝わりには、「伝導」「対流」「輻射」の三つがあり、人間が感じる熱は、''輻射熱''が半分以上を占めるそうです。
つまり、床からの輻射熱で暖められても、壁がものすごく冷たいと、壁からの輻射は非常に冷たいものとなり(冷輻射)、満足な暖かさを得られません。
この様に、原理を知っていると、床暖房をより効率的に利用出来ると思います。
次回は、床暖房の特徴です。