ただ見ただけでは、普通の道路と変らないのに、法律上道路として扱われない道路に接しているため、建物が建てられない敷地があります。
道路は道の幅に関係なく、建築基準法によって定められた道でないと、家を建てることは出来ません。そこで、道路とは何かの定義が必要になります。
建築基準法上で云う道路とは、昭和27年に施行された道路法が制定される以前に存在していて、家が立ち並んでいた道路。開発行為によって造られた道路。位置指定道路。道路法によって定められた道路。のいずれかです。
昭和27年以降に出来た道でその当時家が立ち並んでいなかった道は、どれ程重要な道で人が明らかに道路として使用していても、建築基準法上の道路ではありません。原則的に家を建てる事が出来ないのです。
そうなると、家を建てることのできない、いわゆる「死に地」が社会問題になるくらい多く出てしまうので、救済措置として「建築基準法43条ただし書き」があります。
43条ただし書きは許可申請です。確認申請ではありません。確認申請との違いは、確認申請は法律にさえ合致していれば、工事途上でも変更が可能なのに対し、許可申請は許可されたものしか建てる事が出来ません。つまり、変更が出来ないのです。
43条ただし書き道路で許可される条件は行政によりまちまちですが、代表的なものとして最高高さ10mまでの木造二階建ての専用住宅。となります。
「43条ただし書き」で救済されない道路もあります。
通路です。昭和40年代には経費を削減する為、長屋住宅の申請が多く行われました。一戸建てを建ててしまうと、最低敷地面積が条例で決められていて、それを下回る敷地は長屋住宅として最低敷地面積の規定を免れることが出来ました。申請は長屋住宅で実際は一戸建てを建築する目的です。
長屋住宅の奥の家は道路に面する必要が無い為、通路が認められますが、実際は一戸建てが建つためこれは明らかに違反建築となります。
こういった履歴の残っている敷地は、43条ただし書きでも救済されません。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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