米国特許法改正規則ガイド 第2回 (第1回) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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米国特許法改正規則ガイド 第2回 (第1回)

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米国特許法改正規則ガイド (第1回)

 第2回

河野特許事務所 2012年5月25日 執筆者:弁理士  河野 英仁

 

1.概要

 米国特許商標庁(以下、USPTO)は2012年1月下旬及び2月初旬に米国特許法の改正に伴う改正規則案を公表した。このうち、日本企業にとって重要な

(1)補充審査制度(AIA: America Invents Actセクション12)、

(2)付与後レビュー(Post Grant Review)(以下、PGRという。AIAセクション6)、

(3)当事者系レビュー(Inter Partes Review)(以下、IPRという。AIAセクション6)

について解説を行う。

 

 公表された規則に対しUSPTOは意見を募集しており、(1)については2012年3月26日、(2)及び(3)については2012年4月10日までに意見をUSPTOに提出する必要がある。

 

 なお、

(4)対象ビジネス方法特許に対する暫定プログラム(CBM:Covered Business Method)(AIAセクション18)、

(5)CBMにおける技術上の発明の定義(AIAセクション18)、及び、

(6)由来手続(AIAセクション3)

については第3回で説明する[1] 。

 

2. 補充審査制度(AIAセクション12)

(1)概要

 補充審査とは特許発行後、特許に関連すると思われる情報をUSPTOに考慮、再考慮、または修正させるために、特許の補充的審査を要求することをいう。

 

(2)請求人適格

 特許権者のみが請求することができる(275条(a))。特許権者を除く者(すなわち第三者)は補充審査手続において、書類の提出またはその他いかなる形態での参加も禁じられる(規則1.601(c))。

 

(3)時期的要件

 特許発行後である(275条(a))。

 

(4)請求の理由

 特許に関連すると思われる情報を考慮、再考慮、または修正するために、特許の補充審査をUSPTOに要求することができる(275条(a))。すなわち、新規性及び非自明性の問題だけではなく、記載不備等の問題を解消することをも目的として請求することができる。

 

(5)請求の効果

 補充審査の要求の3ヶ月以内に、長官は補充審査を開始する。ここで長官は提示された情報が、特許性に関して実質的で新たな疑問(SNQ)を提起していることを示す証明書を発行する。発行された当該証明書が、特許性に関するSNQが要求書中に主張されていると示している場合、長官は特許の再審査を命じる(275条(a)(b))。

 補充審査手続で情報が考慮され、再考慮されまたは訂正された場合、前段階の特許審査において考慮されなかったか、不適切に考慮されたか、または、不正確であった情報に関する行為によって、権利行使不能とされることはない(275条(c))。このように、訴訟提起前に補充審査を行っておくことで、不正行為により権利行使ができなくなるという問題を解消することができる。

 

(6)補充審査費用

 補充審査請求の手続及び処理費は$5,180である。また長官により再審査が命じられた場合、査定系再審査費として$16,120必要となる(規則1.20)。なお提出する非特許文献の長さにより費用は変動する。また長官により再審査が命じられなかった場合、一部の手数料が返還される(規則1.26)。

 

(7)提出できる文献数

 補充審査の請求人は、特許に関連すると思われる10を超えない情報項目を提出することができる(規則1.605)。例えば非自明性(米国特許法第103条)について組み合わせるべき文献A及び文献Bを提出した場合、2つとカウントされる。

 また50ページを超える文献についてはその要約が必要とされ、非英語文献については翻訳文が必要とされるがこれらについてはカウントされない。なお、10を超える文献については別途2以上の補充審査請求を行えば良い。

 

(8)提出書類の内容

 以下の書類を提出する必要がある(規則1.610)。

 (1)請求の一部として提出される各要素を箇条書きにしたカバーシート

 (2)請求内容の目録

 (3)補充審査を請求する特許の番号、発行日及び第1発明者の特定

 (4)考慮、再考慮または修正を要求する各情報項目のリスト、及び、各情報項目の公開日。

 (5)他の先行または同時継続中の付与後特許に係るUSPTO手続(補充審査が請求されている特許に関する手続)を特定するリスト。これには、手続(例えば、査定系再審査、当事者系再審査、再発行、補充審査、付与後レビュー、当事者系レビュー)のタイプの特定、そのような手続の番号(例えば、管理番号または再発行特許出願番号)の特定、及び、そのような手続の提出日が含まれる。

 (6)補充審査が請求されている特許の各態様(要約、図面、明細書及びクレームを含む)の識別。これには審査されるクレームにおいて、米国特許法第112条(f)に規定する各means-plus-function または step-plus-functionに対応する明細書の構造、材料または作用の識別が含まれる。

 (7)各情報項目により提起された各争点の識別

 (8)各特定された争点の独立した詳細な説明。

 (9)補充審査が請求される特許の写し、及び、当該特許について発行された放棄書,訂正証明書、延長証明書、補充審査証明書、付与後レビュー証明書、当事者系レビュー証明書、または、再審査証明書の写し

  (10)非英語文献中の必要かつ該当部分の全てについての英語翻訳文を伴う、本セクションパラグラフ(b)(3)にリストされた各情報項目の写し。

 (11)請求書を除いて長さ50頁を超える提出書面の関連部分の要約。

 (12)規則1.601(b)に規定されているとおり審査するよう請求される特許における全所有権を確立する本章規則3.73(b)に従う特許権者による提出

 

(9)補充審査中の手続

 補充審査請求の提出日から3月以内に、USPTOは特許クレームに影響を与える特許性に関する実質的で新たな疑問が、請求において提示された情報項目により提起されているか否かを判断する(規則1.620)。

 また、インタビュー(面接)は補充審査手続において禁じられており、補充審査手続においては、特許のいかなる局面に対する補正も認められない。なお、再審査が命じられた後は補正することができる(米国特許法第304条)。

 



[1] 規則を除く米国改正特許法の詳細については拙著「決定版 改正米国特許法全理解」ILS出版 2012年1月を参照されたい。

 

(第2回へ続く)

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