米国特許法改正規則ガイド 第5回 (第1回) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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米国特許法改正規則ガイド 第5回 (第1回)

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米国特許法改正規則ガイド 

 第5回 (第1回)

河野特許事務所 2012年8月29日 執筆者:弁理士  河野 英仁

 

1.概要

 米国特許商標庁(以下、USPTO)は2012年7月17日米国特許法の改正に伴う情報提供制度(AIA: America Invents Actセクション8)に係る最終規則を公表した。

 

 USPTOは2012年1月に情報提供制度に係る規則案を公表し、各方面からの意見を取り入れた最終規則を公表した。情報提供制度は本最終規則に則り2012年9月16日に施行される。

 

 なお、その他の規則についても順次公表され次第レポートする。

 

2. 情報提供制度

(1)改正の趣旨

 改正前においても情報提供制度は設けられていた(規則1.99)。

 しかしながら、提供できる時期は出願公開後の2ヵ月内に限定されており、特許及び刊行物の提出数も10に限られていた。その上、単に特許及び刊行物が提出できるのみで、いかなる説明をも提出することができないという問題があった。

 そこで、提出期間を大幅に拡大すると共に、簡潔な説明をも提出することができるように法改正[1]したものである(122条(e))。

 

 米国特許法第122条(e)の新設に伴い、以下のとおり規則が改正された。

 

(2)情報提供の時期(米国特許法第122条(e)、規則1.290)

情報提供は書面で以下のいずれかの期日の早いほうに従ってなされなければならない-

 (A)対象特許出願における米国特許法第151条(特許の発行)の規定に基づく特許許可通知の日が付与または郵送された日、または

 (B)-

  (i)USPTOにより米国特許法第122条(出願の秘密性;特許出願の公開)の規定に基づき、対象特許出願が最初に公表された日から6ヶ月後,もしくは

  (ii)対象特許の審査において、審査官による米国特許法第132条(拒絶通知)の規定に基づくクレームに対する最初の拒絶理由発行日、のいずれか遅い方

 

 すなわち、(A)(特許許可前)または(B)のいずれか早いほうであり、(B)(i)(公開6月)若しくは(B)(ii)(最初の拒絶)のいずれか遅い方となる(122条(e)(1))。

 また、注意すべきは規則1.290(b)(2)(i)に規定されているとおり、情報提供の開始起点は米国特許法第122条(b)(出願公開)及び規則1.211(出願公開)の規定に基づき、USPTOにより公開された場合に限られる。つまりWIPO(World Intellectual Property Organization)による公開によっては起点が開始されないということである。

 

(3)提出書類

 規則1.290(d)の規定に基づき、情報提供に際しては以下の書類を提出しなければならない。

 (1)提出される書類または書類の部分を特定する書類のリスト;

 (2)書類のリストにて特定された各項目の関連性を示す簡潔な説明

 (3)書類のリストにて特定された各項目の判読可能な写し。ただし、米国特許及び米国特許公開公報を除く。

 (4)書類のリストにて特定された非英語項目の英語翻訳、及び

 (5)提出を行う当該第三者により以下の事項を示す声明

    (i)第三者は規則1.56(特許性に関する重要情報の開示義務)に基づく出願に関する情報を開示する義務を負う個人ではないこと、及び

  (ii)当該提出が米国特許法第122条(e)の規定及び本セクションに従っていること。

 

(4)手数料

 規則1.290(f)及び(g)によれば、第1回目の提出の場合、全書類が3以下、すなわち提出する文献数が3以下の場合、無料となる。また全書類が3より多く10以下の場合180ドル(規則1.17(p))、11以上20以下の場合360ドルと、10書類毎に180ドルが加算される。なお、情報提供が2回目の場合、1以上10以下で180ドル、11以上20以下で360ドルと全書類3以下による無料サービスを受けることができなくなる。

 

(5)情報提供に対する特許出願人の対応

 新情報提供制度の導入により、今後第三者から情報提供がなされることが増加するものと思われる。ただし、USPTOによる特段の要求がなければ、特許出願人は直接情報提供に対してアクションを取る必要はない(規則1.290(h))。

 

(6)施行日

 2012年9月16日に施行される。ただし、2012年9月16日より前の出願と9月16日以降の出願との双方に適用される(AIAセクション8(b))。

 



[1] 規則を除く米国改正特許法の詳細については拙著「決定版 改正米国特許法全理解」ILS出版 2012年1月を参照されたい。

(第2回へ続く)

ソフトウェア特許に関するご相談は河野特許事務所まで

 

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