加藤幸彦(エス)です。
写真は、住宅作品「小鳥が自由に飛びまわる、大きなリビングルーム」の1階ピアノホールです。(引越し前で、ピアノはまだありません)
設計途中、お施主さん所有のアップライト式ピアノを聴かせていただいた際、わりと硬質な音だな..という印象がありました。このピアノを置くスペースとしては、少し響きを抑えめにしたほうがいいと感じていました。
一方、お施主さんの希望としては、新しいピアノホールの床はタイル張りにしたいとのこと。ピアノの音はしっかり響きそうです。ですから、響きすぎず、でも適度な反射音で音響感を最適にするためには、天井の吸音性の設定が非常に重要と考えました。
できあがった天井の表面は「杉板」。幅9cmくらいの小幅に加工した板を、2cmくらいの隙間をあけて張っています。隙間部分に見えているのは、白いコットンの布。その奥(下地)には、吸音用のグラスウールを全面に貼り込んでいます。響きすぎず、地味になりすぎず。適度な反射音を作るための工夫です。
また、杉板の隙間を利用して、ライティングダクトも取付けました。スポットライトを点灯させて、ちょっとしたコンサート気分も味わえます。
竣工後、一度、ピアノを聴かせていただいたことがあります。
隣接する吹抜けの下にある階段が、観客席。
適度な硬さの音が、うまい具合に空間全体に回り込んで、とてもいい感じでした。
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住宅作品「「小鳥が自由に飛びまわる、大きなリビングルーム」」は
→http://open-g.net/press/archives/400
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このコラムの執筆専門家
- 加藤 幸彦
- (東京都 / 建築家)
- 一級建築士事務所エス 代表
テーマは「環境的居住空間」「小さな家」「リノベーション」。
建築の価値観が大きく転換しつつある今、社会的価値観とクライアントの個性を同時に重視し、「美しい空間デザイン」がどうあるべきかを常に問いながら設計活動をおこなっています。
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