- 杉浦 繁
- Atelier繁建築設計事務所 代表
- 愛知県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
石油ファンヒーターは強力な暖気を部屋中にどんどん送り出すことの出来る暖房器具です。
その機器の費用対効果からいえばとても安価で簡単に部屋中を強力に暖めることが出来ます。
石油ストーブも部屋全体を暖めるのには少し時間がかかりますが・・
大きな暖気を作ることが出来ます。
しかも、化石燃料は燃焼する際に水蒸気を発生するので自然と室内を加湿することが出来ます。
ゆうことのない暖房器具です。
ただ、これらには大きな欠点が一つあります。
そう・・
灯油です。
灯油を運ばなければならないのです。
灯油は重い!
運ぶのが大変!
石油は限りある資源!
そして昨今はその燃料である灯油がどんどん値上がり!
そして・・
そういった欠点がないのがガスファンヒーターです。
ガスファンヒーターは燃料が灯油ではなくガスになっただけの物で・・
同じように強力な暖気をどんどん部屋中に供給することが出来ます。
もちろんガスも燃焼する際には水蒸気を出し、加湿してくれます。
しかも・・
灯油と違ってガスは自動的に供給されますので重くて高い灯油を買いに行く必要がありません。
昔はガスを扱うので危険性が高いなどと思われていましたが・・
今はそんなことはまったくありません。
今の都市ガスは溜まらなければ爆発などは決してしませんし・・
ガス栓にもガスメーターにもシャットダウン装置が付いていますので安全です。
そして・・
実は天然ガスは石油などよりずっと炭酸ガスの発生が少ない環境に優しい燃料で・・
石油よりもたくさん埋蔵量が残された燃料です。
ただ・・
ガスコックがないと使えない・・
のです。
オール電化では絶対に使えません。
最近は、住宅の場合・・
オール電化をご要望される方以外は基本的に各室にガスコック設置とこのガスファンヒーター使用をお勧めしています。
とても便利で暖かく環境にも優しい暖房器具です。
もちろん・・
事務所にはガスコックなどありませんから・・
使えませんがね。
だから・・
ひいこら灯油を買って気ますです。
さて床暖房・・
憧れの床暖房・・
でしょうか?
もちろん、うちの事務所にはそんなもんはありませんが・・
すでに床暖房をお使いの方はご存じかと思いますが・・
実際の所、寒い寒いここの所のような真冬の日には床暖房だけでそこそこの大きさの部屋全体を暖房するのは無理です。
補助的な物と考えてお使い頂いた方が良いでしょう。
そして、瞬間的に一気に部屋を暖めることも出来ません、時間がかかります。
ただ、この床暖房というのは床全体を暖めてくれますので、足下からポカポカと非常に心地よい暖かさを作ってくれます。
ホットカーペットも似たような物なのですが、ちょっと痛熱い感がありますが、床暖房はフローリングなどの床板全体から暖めてくれますのでとても気持ちがよい物です。
そう、床に座っていると動きたくなくなるぐらい・・笑。
それにしても床暖房・・
一昔前から考えますと、本当にお安くなりました。
もしお宅を建てるのにもう少しだけお金を掛けるのであれば・・
カーテンをロールスクリーンにする前に家具を買い換える前に、居間や食堂にこの床暖房を入れることをお勧めします。
本当にいいものです。
そんな床暖房にはいくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。
まずは温水式。
これは循環して送られる温水を床下に通す方式で、柔らかな暖かさで最も強い熱を作ることが出来ます。
ガス給湯器や電気でもエコキュートなどの湯沸かし設備を設ける場合にはこれが最も優れています。
ただ、工事がちょっと大変でリフォームなどには向かないのと、設置に少しお金がかかるのが欠点です。
次に電熱式。
電熱線を床下に張り巡らして発熱します。
昔は、電熱特有の痛熱い感がありましたが、昨今は技術が進んで電熱によって蓄熱などさせたりしてから暖めますので心地よい暖かさが得られるようになってきました。
ただ、当然電気代が・・
それから遠赤式。
遠赤外線を発生するフィルムを床下に入れ込み上に向かって熱を発生します。
赤外線ヒーターが床全面に埋め込まれているような物です。
フィルム状の物ですから非常に工事が簡単で安価でランニングコストも安いものです。
ただ、床の真上の赤外線の当たるところだけが暖かいという特徴のある暖かさになりますので、好まない人は好まないかもしれません。
そんな床暖房ですが・・
吹き抜けや高天井などを居室に作る場合、全館冷暖でもない限り、その部屋内には絶対に床暖房を設置しなければなりません。
暖気は軽いのでどんどん上に上がっていってしまいます。
ですから天井の高い部屋ではいくら暖房をしても暖気はみんな上に行ってしまって人のいる床面は非常に寒くなります。
ですから、そこに床暖房・・
床面自体が熱を出してくれますのでとても向いています。
床暖房がなければ、居室に吹き抜けなどというのはありえないことです。
逆に言えば、床暖房の広がり一般化によって居室に吹き抜けを作ることが出来るようになったともいえます。
いやはや、床暖房などない昔の格好いい吹き抜けリビングってのは寒い寒い・・
冬はその部屋を使いませんっていう家を何軒も知ってます。
まあ・・
ですから・・
うちの事務所は高天井でも吹き抜けでもないので・・
床暖房はいらない?
わけですか?
欲しいけど・・
ないのです。
【 このコラムはブログ記事をまとめた物です。詳しくはブログ「よもやま建築日記~家づくりの現場から~」をどうぞ。 】
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