- 杉浦 繁
- Atelier繁建築設計事務所 代表
- 愛知県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
東日本大震災の後・・
東北や関東では電気が本当に途絶えるという事態が頻発しました。
そして今・・
東北や関東のみならず、日本中どこもがいつ電気が途絶えてもおかしくないという懸念が生まれて来ました。
水と電気は絶対になくならない・・
なんていう日本の神話はもろくも崩れ去ったのです。
考えてみれば・・
当たり前なことなのです。
なんだって絶対なんて事はないのですから。
電気がないと・・
もちろん家電もパソコンもみんな使えません。
そして・・
ありとあらゆる暖房器具が使用できません。
もちろん冷房だって使用できませんが・・
真冬にまったく暖房器具が使えないとなると命にかかわります。
なんとかしなければなりません。
TVがなくても・・
パソコンが使えなくても・・
洗濯できなくても・・
冷蔵庫が使えなくても・・
命にはかかわりません。
が・・
暖房がないと即座に命にかかわる。
何か別の暖房手段を考える必要があります。
阪神大震災は1月という非常に寒いさなかに起きました。
家々が倒壊し電気も水道も何も通じなくなった町で、暖をとる唯一の方法は・・
たき火だけでした。
町のそこここでたき火が焚かれ人々を暖めました。
幸か不幸か燃やす物にはことかかなかったようです。
ただ・・
たき火は屋外でしか出来ません。
屋内では・・
電気がない、そんな時使えるのは・・
ストーブだけです。
石油ストーブ・・
薪ストーブ・・
エアコンだのファンヒーターだの床暖房だのに比べれば決して優秀な暖房器具とは言えないストーブなのですが・・
一家に一台ストーブを常備しておくことが大切になるのかもしれません。
薪を燃やしてその火で暖をとる暖房・・
器具とはちょっと違うかもしれませんが。
いいですね~!
憧れですね~!
欲しいですね~!
暖炉とか・・
薪ストーブとか・・
囲炉裏とか・・
そうそう・・
囲炉裏はとにかくとして、暖炉と薪ストーブの違いってわかりますか?
薪ストーブはストーブってくらいだから移動できる物?
違います。
暖炉は部屋のそこに作る物で・・
薪ストーブは出来上がってる物を持ってきてそこに据え付ける物です。
どちらも薪を燃やしてその火で暖をとる、というとても暖かくてお洒落で素敵な暖房器具です。
別荘やロッジの必需品?
お金持ちの象徴?
ま、どうだかはわかりませんが・・
ただ、暖炉はとにかく薪ストーブなら、そんなに高価な物ではありません。
そう、設置費込みでも安い物なら20万~もあれば付けることが出来ます。
部屋にスペースさえあれば・・
なのに何でお金持ちの象徴なのでしょう?
それは・・
薪が高いのです・・
薪が!
皆さんの住んでいらっしゃる地域に薪ってその辺に転がってますか?
うちの辺ではどこ探しても絶対にあっりません!
薪はホームセンターか農協かなんかで買ってくるしかないのです。
ナラとかクヌギとかツガの薪一束で1000円?2000円?
その薪を1日に2束?3束?
オーマイガー!なのです。
もし、お宅の廻りに薪がゴロゴロ転がっている山の中にお住みの方がいらっしゃいましたら薪ストーブを設置することをお勧めします。
そういう所・・
つまり、別荘やロッジでは必需品になるわけです。
ようするに薪がたくさんあるところですから。
なくても山中の別荘地なら近所でいっぱい売っているのです。
もし薪の暖房を設置したいというのであれば・・
囲炉裏や暖炉はとりあえずはおいといた方がいいかもしれません。
家の中が逆流した煙りまるけにならないよう暖炉や囲炉裏を作るのは、相当に難しいのです。
だったら、薪ストーブが簡単です。
もう出来てますから。
もちろん煙突はいりますが・・
ま、それに・・
たまにしか使わなくたって・・
あるだけでお洒落です。
その他に何がある?
そう・・
たとえば、地熱を利用した地中熱暖房とか。
この地熱暖房には温泉地のような地面が熱を持っている場合にそれをそのまま利用する物・・
地上と地中の温度差を利用したヒートポンプ式の物・・
それを地中に蓄熱する方式の物・・
などがあります。
そんなに新しい技術というわけでもないのですが、ここの所の環境意識の高まりやランニングコストの安さなどから増えているようです。
これは、初期投資は非常に大きいですがランニングコストは非常におやすく、しかも環境に優しく、身体にも非常に心地よい物だそうです。
一度使ってみたいと思っているのですが・・
いかんせん・・
建物自体が設備みたいな物なので使うのが難しいのと・・
建築時には、とてもお金がかかるのが欠点です。
昔からある物では・・
温水式暖房機とかもあります。
ようするに、昔で言うセントラルヒーティングってやつ。
今でも言うか?
温水式の床暖房などと同じような物なのですが・・
温水を壁パネルや暖房機などに送って暖房します。
大きなビルなどではこれの大型の物、ファンコイル方式などで冷暖房を行うことが多いのですが、その小型版です。
ただ、温水の量がたくさんいりますので給湯器やエコキュートなどの熱源機では足りないため、ボイラーなどでお湯を沸かす必要があります。
だから、寒冷地などではよく使われる暖房方式ですね。
蓄熱暖房・・
なんちゅうのもあります。
ようするに・・
熱を電気の安い夜のうちに蓄熱体にためといて昼使う・・
という物です。
暖房機自体の中に蓄熱体を持っているものや・・
建物の基礎などの中に蓄熱体をいれて建てる方式・・
などがあります。
ただ、これは重い!
蓄熱体、つまり石みたいなもんですので・・
2階に置くときは相当に検討しといて下さい。
そういえば・・
炬燵・・
コタツのこと忘れてた。
まあ、いうまでもないか?
なんか・・
こうやって書いてみると本当に暖房って一言で言ってもいろんなのがあります。
何を選ぶかは・・
地域環境・・
生活状況・・
建物の状況・・
望む暖かさ・・
コストとランニングコスト・・
などによって大きく異なります。
あなたがこれが良いと思った物を選べばよいでしょう。
なんか、実験室とか言っといて・・
実験できてる物は非常に少ないのですが・・
ま、許したって下さい。
【 このコラムはブログ記事をまとめた物です。詳しくはブログ「よもやま建築日記~家づくりの現場から~」をどうぞ。 】
Atelier繁建築設計事務所HP
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