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村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
弁護士

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対象:住宅・不動産トラブル

森田 芳則
森田 芳則
(不動産コンサルタント)

閲覧数順 2017年08月20日更新

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賃貸オフィスの入退去をめぐるトラブル(2)賃借中

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不動産

◇賃貸中のトラブル

・賃料増減額請求権

  賃貸借が継続していると、時間の経過により賃料の額が不相当になるケースがあります。

  建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができます。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従います(借地借家法32条)。例えばバブル時代に取り決められた賃料には不相当に賃料が高額な場合がありますので、賃料の減額を請求できるというわけです。

  家賃の増額請求がなされたとき、話し合いで解決できなければ調停、調停が成立しなければ家賃増額請求訴訟を経て確定します。最終的に裁判で新家賃が決まるまでの間は、賃借人は旧家賃を支払っていれば足ります。ただし、最終的に裁判で決まった家賃の額との差額と年1割の遅延損害金を付加して支払わなければなりません(借地借家法33条2項)。

・           更新料

更新料は支払合意がなければ支払義務はありません(最判昭和51年10月1日)。支払特約がある場合、借家契約が法定更新されると、更新料の支払義務があるかどうかの争いがあります。裁判例は分かれています。

法定更新の場合には何ら経済的負担なしに更新できるのだとする裁判例もあります。

しかし、更新料の支払いが賃貸借契約の内容となっていることから、更新料を支払わないと、家主との信頼関係を破壊するので、借家契約を解除できるという趣旨の裁判例も有力です。更新料を支払わなかったために解除されてしまうのは困りますので、支払っておいたほうが安全です。

・           家賃の不払い

家賃を1回でも支払わなかった場合には、催告無しで解除できるという無催告解除特約が特約として締結されていることが多いです。しかし、1回でも支払いをしないと契約が解除されてしまうのは借家という継続的な信頼関係に立った契約からすると、好ましくありません。そこで、その特約の有効性が争われていますが、借地借家法の精神から見て、無効とされています。しかし、家主が賃借人に家賃を支払うよう相当期間定めて催告し、支払がないときは解除することは、家賃の不払いが3ヶ月以上の場合には解除が有効とされていますので、注意が必要です。

・雨漏りなどがあった場合

 雨漏りがあった場合には、家主と賃借人の関係はどうなるでしょうか。

 家主は賃貸物件を修繕する義務を負います(民法606条1項)。家主が賃貸物件を修繕する場合には、賃借人は拒むことができません(民法606条2項)。

 賃借人が修繕を請求したにもかかわらず家主が修繕しない場合には、賃借人は修繕することができ、その費用は有益費として賃借人に対して家主から償還されます(民法608条)。

 雨漏りなどによって、賃借人が賃貸物件を使用収益できない場合には、賃借人は賃料の減額を請求することができます(民法611条)。

 雨漏りなどによって契約目的を達成することができない場合(例えば、雨漏りによってパソコンが使用できない場合など)には、契約目的を達成できないとして、解約が認められます。この場合には、予告期間は必要ありません。また、パソコンの修理代などは、別途、損害賠償として家主に請求できます。

・  用法違反

 オフィス専用物件に居住しているようなケースが考えられます。また、家主に無断で模様替えなどをしてしまった場合も挙げられます。

この場合、家主から用法違反を理由として解除が認められるでしょうか。

裁判例は分かれていますが、おおむね、用法違反をするに至った経緯、建物の構造、用法違反の程度、建物の価値の増減、建物を原状回復することの難易、用法違反が近隣に与える影響などを考慮して、信頼関係破壊に至ったかどうかで、解除の可否を決しています。

・  無断譲渡、無断転貸

 家主に無断で借家権を譲渡、または転貸してしまった場合はどうなるでしょうか。

 民法612条は、無断譲渡、転貸を解除理由としています。判例は、その場合でも、信頼関係を破壊したかどうかを基準として、解除の可否を決定していますが、基本的に解除が認められるケースが多いと言えます。それは、賃借人が誰かということが家賃をきちんと支払ってくれるかどうかの重要な要素だからです。

 居ぬきで営業用物件を譲渡する場合がありますが、その場合でも、通常は、家主の同意を得て、譲渡承諾料を支払って、物件を移転させる慣行があります。この場合には、家主に無断ではありませんから、解除される危険性は少ないと言えます。

 もっとも、家主に無断であったとしても、小規模零細な同族会社などで、代表者から会社へ無断譲渡、転貸をしたようなケースでは、判例は、解除を無効とするケースが多いと言えます。しかし、安易な無断譲渡、転貸はトラブルのもとですので、厳に謹んでください。

 

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