デット・エクイティ・スワップ(DES)と会社法 - 会社法・各種の法律 - 専門家プロファイル

村田 英幸
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デット・エクイティ・スワップ(DES)と会社法

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債務整理

デット・エクイティ・スワップ(DES)

第1節 意義

デット・エクイティ・スワップ(Debt Equity Swap)は,デット(債務)とエクイティー(株式)をスワップ(交換)することをいいます。具体的には,過剰債務・財政破綻状態にある企業の債務を債権者が債権による現物出資をおこない株式化することをいいます。貸し手の立場からは,債権を元手にした出資を意味します。日本語で「債務の株式化」と表現されることや,DESと略して表示されることもあります。

 DESで有利子負債を削減させることが,財務改善の手法の一つで企業再生をおこなうための一つの手段であると考えられています。

 DESの効果としては,次のようなことが挙げられます。

① 財務体質の改善

 債務者にとっては,負債を圧縮し,資本を増大することにより財務体質の改善をはかることができます。(会社の貸借対照表の「負債の部」に計上されていた「借入金」を,「純資産の部」の「資本金」もしくは「資本剰余金」に振替えることができます)

② 経営者のモラルハザード防止

 債権者にとっては,債権の代わりに債務者の株式を保有することで,単なる債務の免除ではなく,債権者が株主として企業再建に関与することができることから,経営者のモラルハザードを一定程度抑制することも期待されます。

③ 株式の価値向上

 債権者にとっては,債権放棄と異なり,将来,債務者企業が再生した場合,保有株式からキャピタルゲイン(M&Aにおける市場外での,あるいは,株式の再上場により市場での売却益)及びインカムゲイン(配当)を得ることができるメリットがあります。

 

第2節 会社法でのDES

1  弁済期の到来している債務の株式化

  募集株式に対する金銭債権の現物出資に関して,すなわち,DESについて,会社法は,新たに規定を設けました。

  現物出資財産が株式会社に対する金銭債権(弁済期が到来しているものに限る。)であって,当該金銭債権について定められた募集株式の発行等ないし新株予約権の行使についての現物出資の価額が当該金銭債権に係る負債の帳簿価額を超えない場合には,検査役の検査を不要とし,なおかつ,現物出資について弁護士等の評価証明書も不要としたのです(会社法207条9項5号,284条9項5号)。

  登記申請に際しては,債権について記載された会計帳簿が添付書類とされています(商業登記法55条3号ニ)。

2 弁済期の到来していない債務の株式化

 弁済期の到来していない債務の株式化については時価で評価する場合,中間利息の控除等の問題がありますので,会社法では,弁護士等の評価証明を必要としています(会社法207条9項4号,284条9項4号)。

3 現物出資財産の価額が500万円以下の場合

  DESの対象となる現物出資財産である債務が500万円を超えない場合には,検査役の調査や弁護士等の評価証明書は必要ありません(会社法207条9項2号,284条9項2号)。

 

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