早わかり中国特許:第7回 特許要件 新規性と新規性喪失の例外(3) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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早わかり中国特許:第7回 特許要件 新規性と新規性喪失の例外(3)

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早わかり中国特許

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第7回 特許要件 新規性と新規性喪失の例外(第3回)

河野特許事務所 2012年3月7日 執筆者:弁理士 河野 英仁

(月刊ザ・ローヤーズ 2011年11月号掲載)

 

5.新規性喪失の例外

 中国においては一定条件下で新規性喪失の例外が認められている。学会等による発表は科学技術の促進に寄与し、また詐欺等により内容が漏れた場合にまで新規性を喪失させるのは酷だからである。新規性喪失の例外は専利法第24条に規定されている。

 

専利法第24条

 特許出願した発明創造が出願日前の6ヶ月以内に、下記の状況の一つに該当する場合は、新規性を喪失しないものとする。

(1)中国政府が主催または承認した国際展覧会において初めて出展したもの。
(2)指定された学術会議または技術会議で初めて発表したもの。
(3)他人が出願人の同意を得ずにその内容を漏らしたもの。

 

(1)展覧会への出展

 専利法第24条(1)にいう「中国政府が主催する国際展覧会」とは、国務院・各部委員会が主催するもの、または国務院が許可し、その他の機構或いは地方政府が開催する国際展覧会をいう。また、「中国政府が承認する国際展覧会」とは、国際展覧会条約に規定されたもので、国際展覧局で登録または認可された国際展覧会をいう。国際展覧会にて出展される展示品は主催国の製品のほか、外国からの製品も展示されなければならない。

 新規性喪失の例外規定の適用を受ける場合、特許出願の際に新規性喪失の例外適用を受ける旨を主張すると共に、出願日から2ヶ月以内に、国際展覧会主催者が発行した関係発明創造がすでに展示されまたは発表された事実、及び、展示または発表された日を証明する書類を提出しなければならない(専利法実施細則第30条第3項)。具体的には、証明資料に、展覧会の出展日、場所、展覧会の名称及び当該発明創造が展示された出展日時、形式と内容を記載して、公印を捺印しなければならない(審査指南第1部分第1章6.3)。

 

(2) 学術会議または技術会議での発表

 専利法第24条(2)にいう「学術会議または技術会議」とは、国務院関係主管部門または全国的な学術団体組織が開催する学術会議または技術会議をいう。ただし、省以下、又は国務院の各部委員会若しくは全国的な学術団体から委任を受けて、或いはその名義により召集して開催する学術会議または技術会議は含まれない。

 新規性喪失の例外規定の適用を受ける場合、特許出願の際に新規性喪失の例外適用を受ける旨を主張すると共に、出願日から2ヶ月以内に、学術会議、技術会議の主催者が発行した関係発明創造がすでに展示されまたは発表された事実、及び、展示または発表された日を証明する書類を提出しなければならない(専利法実施細則第30条第3項)。

 

(3)意に反する公表

 専利法第24条(3)にいう「他人が出願人の同意を得ずにその内容を漏らした」とは、他人が明示または黙認された守秘の約束を守らずに発明創造の内容を公開すること、他人が威嚇、詐欺またはスパイ活動などの手段により発明者、或いは出願人から発明創造の内容を得ることによって発明創造を公開することを含む。

 出願する発明創造について、出願日以前の6ヶ月以内に、他人が出願人の許可を得ずに当該内容を漏らしたことを、出願人が出願日以前に知っている場合、特許出願時に願書でその旨を声明し、出願日より2ヶ月以内に証明資料を提出しなければならない。

 一方、出願人が当該事実を出願日以降に知った場合は、当該事実を知った後の2ヶ月以内に新規性を喪失しない猶予期間を要求する声明を提出し、証明資料を添付しなければならない。

 審査官は必要であると判断した際、指定された期限以内に証明資料を提出するよう、出願人に要求することができる(実施細則第30条第4項)。

 出願人が提出する他人による出願内容の漏洩に関する証明資料には、漏洩日、漏洩方法、漏洩内容を記載し、証明人が署名又は捺印しなければならない。

 

(4)日本企業の注意点

 意に反する公表を除き、あくまで新規性喪失の例外適用を受けることができるのは、中国政府が主催または承認した国際展覧会、或いは、国務院関係主管部門または全国的な学術団体組織が開催する学術会議または技術会議に限定されている。従ってこれら対象外の日本の学会等で発表した場合、中国では新規性の喪失例外規定の適用を受けることができない

 日本においては、施行予定の日本国特許法改正法第30条第2項の規定に基づき、発明者が自ら公表した場合でも、その公表態様を問わず、新規性喪失の例外適用を受けることで特許権を取得し得る。

 また、米国改正特許法第102条(b)の規定によれば、有効出願日から1年以内に発明者等により公開された発明は新規性を喪失しない[1]。

 しかしながら、中国では、専利法第24条(1)及び(2)以外の態様で発明者自らが公表した場合、新規性喪失の例外適用を受けることができない。このように国によって取り扱いが相違する点に十分注意すべきである。

 いずれにせよ、新規性喪失の例外適用はあくまで非常手段と位置づけ、公表前に必ず特許出願を完了させておくことが重要である。

 

(次号に続く)

以上



[1] 先願主義への移行は、オバマ大統領がサインした2011年9月16日から18ヶ月後(2013年3月16日)の有効出願日を有する全ての出願に適用される。2013年3月16日以前に優先日を有する特許出願は先発明主義に基づく旧法が適用される。

 

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