- 村田 英幸
- 村田法律事務所 弁護士
- 東京都
- 弁護士
対象:民事家事・生活トラブル
- 榎本 純子
- (行政書士)
製造物責任
Q テレビをつけていたら、火災が発生し、家が火事になりました。テレビのメーカーに損害賠償請求をしたいと考えています。
1.製造物責任法
製造物に欠陥があった場合、製造物責任法に基づく損害賠償請求ができます。
損害賠償責任を追及する場合、民法の不法行為法における一般原則によれば、要件の一つとして加害者に故意・過失があったことにつき被害者側が証明責任を負う。つまり民法で損害賠償を請求する際には、被告の過失を原告が立証する必要があります。しかし、過失の証明は容易でないため損害賠償を得ることが不可能になる場合がありました。そこで、製造物責任法では製造者の過失を要件とせず、製造物に「欠陥」があったことを要件とすることにより、損害賠償責任を追及しやすくしました。
2.「欠陥」・「製造業者等」とは
製造物責任法で、「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいいます(製造物責任法(以下、「法」という。)2条2項)。
また、「製造業者等」とは、次のいずれかに該当する者をいいます(製造物責任法2条3項)。
製造業者 | |
|
当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者。 |
表示製造業者 | |
|
自ら当該製造物の製造業者として当該製造物にその氏名、商号、商標その他の表示をした者又は当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者 |
実質的製造業者 | |
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当該製造物の製造、加工、輸入又は販売に係る形態その他の事情からみて、当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者 |
3.製造業者等の損害賠償責任
製造業者等は、引き渡した製造物の欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害賠償をする責任を負います(製造物責任法3条)。したがって、説例の場合には、テレビに欠陥があること、この欠陥により家が火事により消失したことを被害者が立証すれば、その損害の賠償を受けることができます。なお、この損害賠償請求権は、原則として、損害及び賠償義務者を知ったときから3年の消滅時効、または製造物を引き渡したときから10年の除斥期間により消滅します(製造物責任法5条1項)。
ただし、欠陥の存在、欠陥と損害との間の因果関係については、民法および民事訴訟法の一般原則にしたがい、被害者側に証明責任があり、加害者側である製造者等に証明責任を転換する立法はされていないことに注意が必要です。被害者への過大な立証負担とならないように、事実上の推定の積極的な活用が期待されます。
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