株主総会での株主構成による多数派工作 - 事業再生と承継・M&A全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
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閲覧数順 2017年02月23日更新

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株主総会での株主構成による多数派工作

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(6)株主構成による多数派工作

株式会社の重要な意思決定は株主総会で決まり,取締役会設置会社では経営方針を決める取締役の選任も株主総会で決まりますから,議決権ある株式の支配比率によって,会社の支配権が決まることになります。

 なお,ある種類の種類株式に不利益を与える場合には,当該種類株式総会決議も必要となる場合もあるので,普通株式の株主総会での支配比率だけではなく,種類株式における支配比率にも多数派工作をしておくべきです。

ア 多数派の場合

 友好的株主を含めて,株主総会の特別決議に必要な3分の2以上の議決権を握っている場合は問題は少ないでしょう。

イ 少数派の場合

 経営者が少数派株主の場合には新株発行により,多数を握れるように対策を取る必要があります。

 純資産の少ない会社であれば,減資と増資を組み合わせることにより少ないコストで会社の支配権を握ることができます。

新株発行(増資)の手続については,第7章 第1 募集株式の発行等において述べます。

資本金の額の減少(減資)の手続については,原則として,株主総会での特別決議が必要です(会社法447条1項,309条2項9号)が,定時株主総会において資本欠損を填補するために行う場合は,株主総会の普通決議で足ります(会社法309条2項9号)。株式会社が株式の発行と同時に資本金の額を減少する場合において,資本金の額を減少した後の資本金の額が,資本金の額を減少する前の資本金の額を下回らないときは,株主総会の決議ではなく,取締役の決定(取締役会設置会社ににおいては取締役会の決議)で足ります(会社法447条3項)。そして,株主総会決議後,債権者保護手続として債権者に異議申し立ての機会が与えられます(会社法449条1項)。異議を述べた債権者に対しては,弁済か,相当の担保の提供か,相当財産の信託をしなければなりません(会社法449条5項)。

 また,増資には剰余金を資本金の額に組み入れるやり方もありますが,株主の支配比率は変更がありません。

 資本金の額が1000万円で,株主が5名いて,各自200万円分の株式を持っているようなケースで,増資して1人が75%の支配比率を握ろうとした場合,非公開会社では株主全員に株式の割当を受ける権利があるので,必ずしも支配比率を変更できるわけではありません。また,他の株主が新株を引き受けない場合でも,75%の支配比率を握ろうとする場合には,追加で2200万円の出資が必要となります(【計算式】200+X=(1000+X)×0.75)。

 しかし,例えば資本金の額が1000万円なのに,純資産が100万円しかない会社であれば,90%減資し,反対派の他の株主が増資に応じないケースでは,200万円の増資で足りるわけです(【計算式】200×(1-0.9)+X=(1000×(1-0.9)+X)×0.75)。

実務では債務超過に陥った会社を建て直すために,既存株主の支配権を減資によって縮小させ,増資によって会社の支配権を握る事例が多いです。増資によって得たニューマネーは会社経営に必要な運転資金となります。

 ただし,純資産に比較して株式の発行価額が余りに安いと有利発行の問題点が生じます。

ウ 株式が半々の場合

 後継者が例えば2人兄弟で株式を半分づつ保有している場合や合弁会社で親会社の支配比率が半々には,会社の経営事項について意思統一できない場合には,どうすればよいでしょうか。

 例えば,片方の株主が経営を続けて行く気がないならば,経営を続けたい株主が相手の株式を買い取る方法があります。

 また,会社の経営を巡って部門ごとに対立しているようなケースでは,部門ごとに会社分割をする方法もあります(会社分割については,第6部 M&A編参照)。

 また,経営を続行したくない場合や含み益のある不動産を抱えているような場合には,話し合いで自主的に廃業して会社を清算する方法があります(廃業,清算の方法については,第8部 事業再生・廃業編参照)。なお,会社の解散決議によって取締役が任期途中において地位を失ったとしても,会社法339条2項の類推適用はありません(東京地判平成20・3・26LLI登載)。

清算するかどうかの方針が決まらない場合,裁判所に解散の訴えを起こすことができます。

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