中古マンション売買の厳しい現況 ~木を見て森を見ず~ - マンション売買 - 専門家プロファイル

中石 輝
株式会社リード 代表取締役
神奈川県
不動産業

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中古マンション売買の厳しい現況 ~木を見て森を見ず~

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不動産市況レポート

自分が専門で扱うものばかり、

自分に関連性のあるものばかりに意識が偏り、

全体を見れなくて判断を誤る、ということは良くあります。

 

いま、その状況が首都圏の多くのエリアの中古マンション市況において見られます。

 

私は2009年12月の時点で、こんなコラムを書いています。

中古マンション価格 今後の推移予想

(お時間ある方は、是非こちらもご覧ください。)

 

上記のコラムを書いた当時は、2008年のリーマンショック以降、急激に新築マンションの供給がストップ、また景気の悪化からマンションを売却して住み替えを行う2次取得者層が少なくなったためか、中古マンションの売出件数も首都圏で前年比25%前後減少し、完全に「商品不足」という状況に陥っていました。

 

となれば、当然「需要と供給」の関係により、モノの値段は上がります。

2009年後半には「中古マンション価格上昇」といった内容の新聞記事等を多く見るようになりましたが、私は上記のコラムを書いたときに、‘今後1~2年のスパンでみると「中古マンション価格は再び下落基調に転じる」と書いています。

 

その最大の原因は、リーマン・ショック後、大幅に下落した価格で土地を仕入れた新築マンションが、1~2年後には確実に供給され始めるからです。(マンションの用地のように、規模が大きすぎて、買い手がマンションデベロッパーに限定されてしまうような土地では、一般の土地に比べて下落幅は相当大きくなります。買い手が限定されるために、どうしても買い手側有利な交渉となるからです。)

 

そして、予想通り、と言うよりも大震災の影響もあり予想以上に、今現在、分譲されている新築マンションは、ターゲット層のお客様に割安感をに感じてもらえるであろう価格帯に抑えられて分譲している物件が多くなっています。

 

マンション全体の相場感で言えば、2009年当時と比べて1~2割は下落しているというのが私の肌感覚です。

 

しかし、中古マンションの販売となると、その売主様は一般個人のオーナー様になります。

我々、不動産取引を生業としている人間のように、常にそのエリアのマンション市況をウォッチしている訳ではありません。

このような個人のお客様は、、

‘そういえば、少し前にあのお部屋がいくらで売りに出ていた’

‘同じマンションで仲のよかった○○さんは、○○万円で売れたので、私の部屋ならこれくらいで売れる’

という話をされます。

 

誰だって、2~3年前の、市況の良い時のイメージが頭に残っていれば、自分の大切な資産の売却も、そのイメージに近いストーリーを描いてしまうものです。

 

また、一般個人のマンションオーナーさんが、マンションを売りたいとなったときに、まずは仲介業者に価格査定を依頼します。

この価格査定でも「木を見て森を見ない」という状況が発生しています。

 

多くの仲介業者の各営業マンがお客様から価格査定の依頼を受けた際、大方の営業マンは、そのマンション内での過去の成約事例を査定価格の一番の根拠データとします。

成約事例ですから、当然「過去のデータ」です。

 

中古物件を扱う仲介営業マンは新築マンション取引を経験したことが殆どないため、そもそも中古マンションと新築マンションを購入するお客様はバッティングせず、新築マンションの価格相場を気にする必要はあまりない、と考えている人間も多くいます。

 

価格査定の依頼を受けた各営業マンは、数あるライバル業者の中で何とか専任媒介を取りたいと思いますので、過去の成約データを基に、少し下駄を履かせた査定価格を出してしまうことになりますし、そうしないと専任媒介が取れないという現実もあります。(※専任媒介…一つの会社を専任の販売窓口として売却仲介を依頼する契約のこと)

 

一般個人の売主様も、その仲介をする営業マンも、過去のデータを根拠にして中古マンションの売出価格を決定している訳です。

 

しかし、実際に購入を検討するお客様となるターゲット層の方は、ある特定のマンションの取引事例だけを見ている訳ではありません。

同じエリアのなかで新築マンションが供給されていれば、当然そちらも選択肢として情報は入手します。

 

そして、中古マンションの価格に比べて、新築マンションの方が安い、という状況になれば、余程「このマンション限定でないとダメ」というお客様でない限り、新築の方に流れてしまいます。

 

同じエリア、同じ広さのマンションで、新築よりも中古のほうが高いなんてことあるの?、と思われる方も多いと思いますが、今現在のマンション市場では、実際にこのような状況が多く見られます。

 

実際の例をご紹介します。

 

2012年1月現在、我社の営業エリアである横浜市中区山下町で、下記の物件が分譲中です。

パークホームズ横濱山下町

今年の3月下旬に入居可能な物件で、総戸数171戸の大規模物件、設備も当然最新鋭のもので、私でもモデルルームに行けばうっとりしてしまいます。

このマンションは、第1期販売のチラシによると、下記の価格帯で販売されました。

 

3LDK(70.71㎡)/4,200万円(1戸)~5,790万円(1戸)

 

坪単価を計算すると @196.35万円/坪~270.69万円/坪 になります。

 

一方、同エリア内で販売されている中古マンションは…というと、このエリアでは平成13~16年当時、みなとみらい線が開通する前に分譲されたタワーマンションが多く、築10年前後経過した現在、中古市場に供給されるマンションの主流になっています。

これらのマンションは未だに @250万円/坪~@310万円/坪 くらいの坪単価で売り出しが行われています。

上記の新築マンションと同じ70.71㎡の広さの部屋であったとすると、

5,347万円~6,630万円 ということになります。

 

マンションですので、お部屋の方位や階数等の条件で単価も変わりますが、パークホームズ横濱山下町の70.71㎡のお部屋は、南東角住戸のタイプで、そのマンションの中で最も売出単価が高いであろうお部屋です。

 

その部屋と比較して、決してそのマンションの中で条件が良い部類に入らない中古マンションが、最新鋭の新築マンションよりも高い価格帯で売りだされていれば、購入を検討するお客様がどちらを選ぶか、その結果は火を見るよりも明らかです。

 

結果、山下町エリアで販売している中古マンションは、販売期間が長期化している物件が多く、販売期間が半年を超え、当初の売出価格より500万円以上値下げをしている、しかしそれでも売れていない、という物件が多くなっています。

 

売れている物件は、売主様にマンション相場全体を見る目があった、売り急ぐ必要があった等の理由で、上記価格帯よりも割安な価格で販売された住戸か、もしくは上層階のベイブリッジ・山下公園(横浜港)を一望できるような特殊な条件のお部屋だけです。

 

このような状況は、今後しばらく、短くとも1年くらいは続くものと思います。

そして、同様の状況が、新築マンションの供給が加熱している新宿区、江東区等のエリアでも見られます。

(私の営業エリアでない郊外地域では、この状況がより顕著なのかもしれません。)



全ての物事は、当事者間の心理で動いている。

だから、客観的で正しい情報を持った人間からすると、

‘これはオカシイ’と思うことはたくさんある。

 

現在の中古マンション市況も、そんな事例の一つなのかもしれません。

 

 

過去の関連コラム

中古マンション価格 今後の推移予想

 

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