多くの給与明細書で最初に登場するのが「健康保険料」です。
健康保険制度は政府が直接管掌する「政府管掌」と、大企業やいくつかの中小企業が集まって独自に運営する「健康保険組合管掌」の2つに大別されます。
いずれの場合でも制度そのものを理解するには、まず「標準報酬月額」というものの意味を知る必要があります。何故ならば、標準報酬月額が保険料の算定や保険給付の金額のベースになっているからです。
標準報酬月額は、取得時決定、定時決定、随時改定という3つの方法で決まります。
取得時決定では社員が入社した際にその人に支払う毎月の給与額を、定時決定では4月〜6月の給与の総額の平均額を、また随時改定では毎月決まって支払う固定的賃金の3ヵ月間の平均額が2等級以上変動した場合に、それぞれその金額を「標準報酬月額表」という表中のバンドに当てはめて標準報酬月額を決定します。
こうして決定された標準報酬月額に保険料率を乗じることで保険料が算出されます。
保険料率は、政府管掌では現在1000分の82となっており、これを労使で折半します。健康保険組合管掌では、一定範囲内で各組合ごとに規約で定めます。
一方の保険給付ですが、病気やケガをしたときに病院や診療所で掛かる際に窓口で支払う金額は、保険給付がされるので原則として医療費の3割負担で済みます。
その他にも、入院や手術などで窓口負担が高額となった場合、一定の金額が高額療養費としてバックされますし、病気やケガによって仕事をすることができなくなった場合に、所得補償として一日について標準報酬日額(標準報酬月額を30で除した額)の2/3が傷病手当金として支給されるなど、多くの保険給付が用意されています。