そもそも「手当」というものは、基本給の補完的・弾力的な運用を可能にする役割を果たすものであって、仕事そのものの性質に伴って支払われる「職務関連手」、社員への福利厚生的な意味合いから支払われる「生活関連手当」、そして、人事管理上の必要性から支払われる「人事管理関連手当」に大きく分類されます。
職務関連手当は、役職手当、職務手当や時間外勤務手当などが代表的ですが、この他にも営業手当や宿日直手当などが普及しています。
営業手当は、文字通り自社製品を売り込んで回る営業活動を行なう社員に対して支払う手当のことです。ただし、よく営業手当を支払うことで残業手当の支払いを免責としている企業がありますが、それが何時間分の残業時間として支払っているのかなど一定の要件が具備されていないとサービス残業を指摘される恐れがあります。
生活関連手当には、言わずと知れた家族手当、住宅手当及び通勤手当などがありますが、物価手当(または地域手当)などもその一つです。
人事関連手当には、精皆勤手当、資格手当や技術手当などがあります。精皆勤手当は、社員の出勤を奨励することを狙って支払われるもので、主に中小企業を中心に広く採用されています。
こうして各種手当を検証してみると、高度成長期に作られた諸手当がほとんどであるせいか、現在では特に支払う必要性が見出せないものも少なくありません。
したがって、諸手当の縮小・廃止というベクトルはある意味必然的なことといえるでしょう。