お寺は、木で造られているのに、何故シロアリ等の被害を受け朽ちないのでしょうか?
床下が高い、水廻り等湿気を呼ぶものが無い、良質な材料を使用している等々がお寺の寿命を延ばしています。
しかし、放っておけば朽ち果ててしまうのは、普通の建物と同じです。神主さんや住職さん、そして信仰心のある人がメンテナンスしているから、朽ちないのです。法隆寺の裏には修理する為の職人さんだけで出来た町すらあります。
耐震診断や健全度調査で、古いお寺の床下に複数回入りましたが、蟻害痕を見事に修復した柱を何本も目撃しています。礎石の上に載った柱の根元から50cmくらいまでをすっぽりと切ってしまって新しい柱を継いでいるのです。地震や台風等の横揺れに抵抗させる為、しっかりと継ぎ手加工されています。
薬師寺の東塔は昨年より8年掛けて解体修理を行います。前回の解体修理は明治31年でした。定期的に部分補修をして100年毎に解体修理を行うから、天平時代の面影を現代に伝えているのです。
何もしないと朽ちてしまうのは、木造・鉄骨・RC造を問わず全て同じです。
メンテナンスフリーと云う言葉を、建材のパンフレットで見かける様になりましたが、カタチあるもので、全くメンテナンスを必要としないものはありません。
汚れ難い。傷つき難い、変色し難い等の性能の差はあっても、全く何もしなくても新品と変らないものは存在しません。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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