18年前の今日。私は神戸に入りました 5 - 住宅設計・構造全般 - 専門家プロファイル

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18年前の今日。私は神戸に入りました 5

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●免震構造住宅

 みんな今日は何処で寝るのだろう、食事はトイレは風呂はどうするのだろう。これから昨日までの神戸に戻るのに何年かかるのだろう。そんな事を考えていると急にお腹が減ってきた。昼過ぎに大阪を出てから 何も食べていない、トイレにも行っていない。そんな事考える暇も無いほど頭が混乱し、興奮していた。
 帰る前に腹ごしらえしたいけど開いている店なんて何処にもない。JR住吉を過ぎた辺りにマンションがあり 1 階にコンビニがあった。ところが 1階の柱が圧壊し普通の半分ぐらいの高さになっている。
もちろん真っ暗、人影も見えない。 出 入り口も壊れており その気にさえなれば中の商品は簡単に取れる。でも泥棒が侵入した形跡がない。ロスの地震の時はコンビニエンス強盗が横行したのと比べれば奇跡にも思えた。
 この日はもう一つ感動する体験をした。43号線を大阪に向けて芦屋付近を走っている時だった。夜中に国道を一人で走っていて暴走族に遭遇し言いようのない恐怖を覚えた人も多くいるだろう。鉄パイプや金属バットでフロントガラスを粉々にされた話しも少なからず聞いている。真冬だし、こんな事件があった直後だから暴走族もないだろう・・・とは思いつつも付近に車がいない夜中は不気味だ。
 いつ余震で崩れるか判らない高速道路の下をノロノロとスピードも出せず走っていると地震で隆起した橋桁に出くわした。50センチ程タテにズレているだろうか、道路がそこで分断されている。とても車では通れない。退き返して迂回路を探そうと回転しかけたとき道の隅に十数名の人影が見えた。
 それがいかにも暴走族という風体。茶髪あり剃り込みあり皮ジャンあり特攻服ありといった集団だった。変に関わってもつまらない。退き返そうとUターンした時後ろにも暴走族に回りこまれ完全に包囲されてしまった。金目の物はあまり持っていない。只では済まないな、と思ったとき先程とは別の感情で足が震え出した。
 リーダー風の男が寄って来る。見た目より若そうだ。こちらが怯えているのを悟られまいと、こちらから声をかけた。「こっ、この辺に迂回路無いかなあ」「迂回路?そんなもん無い」「あ。そう・・・・」
いかん会話が続かない。
 奇妙な間が二人の間に流れた。「ちょっとまっとけ!」その男が仲間の方へ歩いて行った。なにやら指図している。やおら数人の男がその辺から石やらコンクリートの塊を持ってきた。いよいよフロントガラスが気になりだした。逃げ出すタイミングをずっと探していたがちょっと様子が変わってきた。
 段差の出来た橋桁にコンクリート塊を置いて即席のスロープを作り出した。概ね出来あがったところでリーダーが手招きする。右オーライ左オーライと言う風に細かく気を使ってくれる。言われるままに車を動かして橋を渡った。向こう側に出来ている下りの段差にもスロープを作ってくれていて最後に 「大阪へいくんか。気いつけや」と手を振って見送ってくれた。開放感と安堵感と親切心が身に沁み、不覚にも落涙した。
 淀川を渡ったのが午前2時過ぎ奈良の我家へ辿り着いたのは午前4時過ぎだった。翌朝近所の人が話す声で目が覚めた。私の車を取り囲んで何やら話しをしている。車を見てみると一面に灰をかぶり濃紺のボデーが まさしく灰色になっており右側の前輪・後輪ともパンクしていた。神戸では何の違和感も無かった泥だらけの車が、地震の被害が皆無だった奈良では異常な程場違いな感じで、一晩中私を守り続けてくれた車が愛しく思えた。

あとがき
 この日の体験で確かに大変な目に会いましたが、奈良に帰れば厳然として我が家が存在し、温かな家庭が私を待っていてくれるのです。しかし神戸では今も全壊した家のローンに苦しみ、肉親を無くした苦痛と必死で戦っていらっしゃる人々が数多くいるのです。私にも何か出来る事は無いかと、危険度判定士として何度も震災現場に入りましたが、その度に被災者の筆舌に尽くし難い深い悲しみに、直面する事になりました。今まで耐震に関する知識を持ち合わせながら、何もせずにいた自分に対し自戒の念を込めハンドルネームを諸井浩三(脆い構造)にしています。

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