支払方法としては、予め会社が定期券などを購入してから支給する現物給付や、通勤に必要な実費を支払う現金給付がありますが、毎月の給与と一緒に現金で支払っている会社が一般的です。
通勤手当には通勤手段ごとに1ヵ月あたりの非課税限度額が所得税法で定められています。
この非課税限度額は、電車やバスなどの交通機関を利用している人などに支給する場合は10万円、自転車、自動車等を使用し、いわゆる「マイカー通勤」をしている人に支給する場合は、片道の通勤距離に応じて決められています。
ところが、社会保険や労働保険では、しっかりと保険料の計算の基礎に算入されてしまいます。
社会保険(健康保険、介護保険及び厚生年金保険)では、4月から6月に支払われる給与額を平均して標準報酬月額を決定し、それに保険料率を乗じて保険料を算定しますが、この月額給与には通勤手当も含まれます。
また、労働保険(労災保険・雇用保険)では、保険料は1年間に支払われた賃金総額に保険料率を乗じて算定され、この賃金総額には社会保険と同様に通勤手当も含まれます。
また、意外なことに労働基準法上でも通勤手当の取り扱いが大きく影響を受けます。
解雇予告手当、休業手当、減給の制裁などの金額の算定には「平均賃金」が使われますが、この平均賃金の算定の基礎には通勤手当が含まれることが規定されています。
しかしその一方で、割増賃金の算定にあたってはその基礎に通勤手当を算入しなくてもよいとされており、残業手当、休日労働手当及び深夜労働手当には反映されません。