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対象:特許・商標・著作権
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米国改正特許法逐条解説 (第13回)
~第2回 冒認出願とレビュー手続~
河野特許事務所 2012年 2月6日 執筆者:弁理士 河野 英仁
6.査定系再審査(EPR:Ex Parte Reexamination)
(1)概要
EPRは提出要件について規定する第301条のみが改正された。EPRにおいては、先行技術に加えて、裁判所における特許権者の供述をも提出することができるようになった。
なお、査定系再審査は何人も申し立てることができ、利害関係は要求されない。
(2)提出することができる書類
何人も以下の書類を提出することができる(301条)
(i)特定の特許のあるクレームの特許性に関連があると信じる特許または刊行物からなる先行技術、または、
(ii)連邦裁判所またはUSPTOの手続において提出され、特許権者が特定特許クレームの範囲について見解を示した特許権者の供述
(3)包袋書類
EPRで提出した先行技術及び供述書面は、特許に関する特許商標庁のファイルの一部となる。なお、提出者の身元は、包袋書類から排除され秘密が維持される。
(4)施行時期
1年後の2012年9月16日である。
改正前 |
改正後 |
第301 条 先行技術の引用 何人も如何なるときにも,特許商標庁に対して書面により,特許又は刊行物によって構成される先行技術であって,当該人が特定の特許の何れかのクレームに関する特許性に関連があると考えるものを引用することができる。当該人が書面をもって,前記の先行技術を特許の少なくとも1 のクレームに対して適用することの適切性及びその態様を説明したときは,前記の先行技術の引用及びそれに関する説明は,特許に関する特許商標庁のファイルの一部となるものとする。先行技術を引用する者からの書面による要求があったときは,当該人の身元は特許ファイルから除外し,秘密として取り扱うものとする。 |
第301条 先行技術の引用及び供述書面 (a)概説-何人もいかなる時も書面にて以下に言及することができる- (1)特定の特許のあるクレームの特許性に関連があると信じる特許または刊行物からなる先行技術、または、 (2)連邦裁判所またはUSPTOの手続において提出され、特許権者が特定特許クレームの範囲について見解を示した特許権者の供述 (b)サブセクション(a)に基づく先行技術または供述書面を引証する当該人が、書面をもって,先行技術または供述書面を特許の少なくとも1 のクレームに対して適用することの適切性及びその態様を説明したときは,先行技術及び供述書面の引用は,特許に関する特許商標庁のファイルの一部となるものとする。 (c)追加の情報-サブセクション(a)(2)に基づく供述書面を提出する当事者は、この供述書面に対応する供述を提出した手続きに係る証拠、訴答書面、またはその他の書面をすべて、含めるものとする。 (d)制限―サブセクション(a)(2)に従い提出された供述書面、及び、サブセクション(c)のに従い提出された追加の情報は、米国特許法第304条(特許商標庁長官による再審査命令)、314条(IPRの開始)または324条(PGRの開始)に従い命じられまたは開始された手続における特許クレームの適切な意味を判断すること以外の目的で、USPTOに考慮されない。 (e)守秘義務―先行技術を引用する者の書面による要求またはサブセクション(a)に従う供述書面に関し、当該者の身元は、包袋書類から排除され秘密が維持される。 |
PGR、IPR及びEPRの3つはとかく混同しやすいため以下に整理する。
請求時期は参考図3に示すとおりである。PGRとIPRは相容れない。IPRはPGR申し立て可能期間の9月後またはPGRの終了後に申し立て可能である。一方EPRはPGR及びIPRとは無関係に申し立てることができる。
参考図3
申し立ての各要件を整理すると参考図4に示すとおりである。
参考図4
(第14回へ続く)
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