米国改正特許法逐条解説 第2回 (第4回) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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米国改正特許法逐条解説 第2回 (第4回)

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米国改正特許法逐条解説  (第4回)

~第2回 冒認出願とレビュー手続~

河野特許事務所 2012年 1月16日 執筆者:弁理士  河野 英仁

 

3. 特許権に対する防御

 特許権に対する防御方法として改正前は、裁判所における特許無効の抗弁(282条)、当事者系再審査(301条)及び査定系再審査(311条)が存在していた。法改正後は、参考図2に示すとおり、新たに付与後レビュー制度(321条)が新設され、また当事者系再審査は当事者系レビュー(301条)と改められ、申し立て要件が引き上げられた。またビジネス方法特許に対する暫定レビュー制度も新設された(AIAセクション18)。

 なお、査定系再審査制度は申し立て時に提出することができる書類の内容について一部改正されたのみであり(301条)、実質的な変更はない。

 以下、各制度を詳述する。

  参考図2

 

4.付与後レビュー制度(以下、PGR(Post-grant review)という)

(1)請求人適格

 特許権者以外の者が請求することができるが(321条(a))、利害関係が必要とされる(322条(a)(2))。なお、当事者系レビューも利害関係が必要とされるため、ダミー(匿名)で特許の有効性を争う場合、査定系再審査によるしかない。

(2)客体的要件

 特許またはクレームの無効に関する米国特許法第282条(b)(2)または(3)に掲げる何らかの理由である(321条(b))。すなわち、保護適格性(101条)、新規性(102条)、非自明性(103条)、記載要件(112条)の全てについて、申し立てを行うことができる。ただし、第1回で説明したとおり、ベストモード要件違反(112条パラグラフ1)については争うことができない(282条(3)(A)かっこ書き)。

(3)時期的要件

 PGRの申し立ては特許の発行日または再発行特許の発行日から9月以内に限られる(321条(c))。なお、PGR申立期間経過後は当事者系レビュー(Inter Partes Review、以下IPRという)が可能である。

(4)PGR開始基準

 PGRを申し立てたとしても、一定の基準を満たさなければ、長官により申し立てが却下される。具体的には、どちらかといえば多分(“more likely than not” 51%以上の確率で)少なくとも一つの対象クレームが特許性の無いことを示している場合にのみ開始される。これは、査定系再審査(Ex Parte Reexamination、以下EPRという)の開始要件「実質的で新たな疑問SNQ(substantial new question)」よりも高い基準である。

 なお当該長官の決定に対する不服申し立てはできない(325条(e))。

(5)他の訴訟との関係

(i)特許有効性に関する民事訴訟との関係

 PGR申し立て日前に、申立人または利害関係のある実際の当事者(real party)が特許のクレームの有効性について争う民事訴訟を提起している場合、PGRは開始されない(325条(a)(1))。

 また、申立人がPGR提出日以降に特許のクレームの有効性を争う民事訴訟を提起した場合、当該民事訴訟は中断される(325条(a)(2))。

(ii)仮差し止めとの関係

 特許侵害に関する民事訴訟が特許成立の日後3月以内に提起された場合、裁判所は、PGR申し立てが本章に基づき提出されたこと、または、PGRが本章に基づき開始されたことに基づき、特許権侵害仮差し止めに関する特許権者の申し立てに対する検討を中断しなくてもよい(325条(b))。つまり、特許成立後の3月以内に仮差し止め請求に基づく訴訟が提起された場合、たとえ対抗手段としてPGRが申し立てられたとしても、裁判所は仮差し止めの審理を中断しないことができる。事態の緊急性に鑑み、中断することなく審理を続行させるためである。

(6)禁反言

 申立人が既にPGR手続で主張した理由に基づいて、当該クレームに関する手続を要求または維持することができない(325条(e)(1))。

 また、民事訴訟、または、ITC(米国国際貿易委員会International Trade Commission)における手続において、申立人がPGR手続において既に主張した理由によって、当該クレームが無効であるとの主張することができない(325条(e)(2))。このように、PGR手続において主張した理由と同様の理由を裁判所では主張できない点に注意すべきである。

 

(第5回へ続く)

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