![小松 俊明](https://d32372aj5dwogw.cloudfront.net/home/profile/front/html/img/professional/ll/1324388797.jpg)
- 小松 俊明
- リクルーターズ株式会社 経営コンサルタント (専門/人材ビジネス)
- 東京都
- 経営コンサルタント
対象:労働問題・仕事の法律
「日本の会社は解雇ができない」もしくは「しにくい」、と思っている方が多いと思いますが、それはいまやもう正しくない認識となっているようです。
中途採用されたが解雇された人事部長がいました。本人は人事の専門家です。色々と考えた末に解雇は不当と訴えたわけですが、判決は解雇した会社の勝訴。「要職に中途採用された者の解雇において、会社の解雇回避努力義務は緩和される」ことが認められて解雇は撤回となりませんでした。東京高裁の判例です。
特に管理職や専門職の場合、解雇回避努力義務の緩和が命じられるケースが増えています。もうひとつ、この話が示唆する重要なポイントがあります。それは「中途採用された人は解雇しやすく、新卒採用の人は解雇しにくい」ということです。
もう一つの判例が、その傾向を明らかにしています。
中途採用の上級管理職で高報酬が約束され、即戦力になることが期待されていた人がいました。但し、会社は本人の成績不振を理由に解雇。本人は不服として訴えました。この顛末は会社が勝訴しました。その理由に明記されたのは「中途採用で入社した上級管理職の成績不振は認められる」というもの。この人物が「中途採用」であったことを明記した上での判決であり、この判決は注目されます。(平成13年東京地裁)
新卒採用で入社した人の場合、仮に成績不振だったとしても他の職務を与えることが会社に求められるのに対し、中途採用の場合、採用時に特別な能力と実績を持った専門家であることを双方で確認したうえで採用しているから、その当該職務で成績不振な場合、会社は他の職務を提供することで解雇を回避する努力をする必要がないとも解釈できるわけです。
私の仕事は管理職の中途採用をたくさん経験してきただけに、こうした判例には愕然としてしまいます。採用のミスマッチが合法的な解雇を引き起こすことがあることをあらためて考えさせられますね。採用の現場は、もっと慎重でなければならないと思います。
キャリアの悩みをお持ちの方は、弊社がご提供するキャリアコーチングやキャリアメール相談をご活用頂くのも一つの方法ですので、ご参考までにお知らせします。
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