早わかり中国特許:第1回 中国特許の基本的枠組み(第3回) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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対象:特許・商標・著作権

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早わかり中国特許:第1回 中国特許の基本的枠組み(第3回)

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早わかり中国特許 

~中国特許の基礎と中国特許最新情報~

第1回 中国特許の基本的枠組み(第3回)

河野特許事務所 2011年7月15日 執筆者:弁理士 河野 英仁

(3)司法解釈と判例

 中国は判例主義を採用しないため、人民法院がなす判決は当事者を拘束するのみであり、下級審及び訴外第三者に対しては何ら法的拘束力を有さない。従って、人民法院の判決文を見ても過去の判例が引用されていない。

 しかしながら、これでは専利法で規定していない具体的な法的運用について人民法院間で解釈が相違することとなる。そのため、数年に一度、最高人民法院は各人民法院の判決をとりまとめ、指標とすべく司法解釈を公布している。

 「司法解釈とは中国の最高人民法院が法律により付与された職権に基づいて、法律を実施する過程において具体的にどのように法律を運用するかについて発行した普遍の司法効力のある解釈をいう[1]」。

 数多くの司法解釈が公布されているが、中国特許制度を理解する上で、重要な司法解釈は以下の2つである(表5)。

表5 中国特許制度に関連する司法解釈

 

 例えば、機能的・作用的な請求項を記載した場合の権利範囲解釈をどのように行うべきか専利法には規定されていない。この点、司法解釈[2009]第21号第4条は以下のとおり規定している。

 

司法解釈[2009]第21号第4条

 請求項において機能または効果により表されている技術的特徴について、人民法院は明細書及び図面に表された当該機能または効果の具体的な実施形態及びそれと均等な実施形態と合わせて、当該技術的特徴の内容を確定しなければならない。

 

 すなわち、機能的・効果的に記載された請求項は当該機能を満たす限り、いかなる構造であってもその権利範囲に含むこととなる。そのため司法解釈では明細書中の具体的実施形態及びその均等物に権利範囲を限定して解釈すべき旨規定したのである。

 司法解釈は影響力が大きいため、公布前には「司法解釈(案)」に対する意見募集がなされる。最高人民法院は、各界の意見を反映させた上で最終的な司法解釈を公布する。

 もちろん、専利法及び上述した司法解釈の具体的事件への適用を理解する上では重要な判例をウォッチングしておくことも必要である。

 

 

コラム 国際特許出願(PCT出願)動向と中国企業のPCT出願状況

順位

国名

PCT出願数

1

米国

44,855

2

日本

32,156

3

ドイツ

17,171

4

中国

12,337

5

韓国

9,686

表1 PCT出願ランキング

 前述したとおり中国知識産権局への発明特許出願総数は米国に次ぐ世界2位となり、また外国出願数を示す一つの指標であるPCT出願においても中国は韓国を抜き4位となった[2](表1)。

 

順位

企業名

PCT出願数

2

中興通信(ZTE)有限公司

1863

4

華為テクノロジー有限公司

1528

88

華為デバイス有限公司

164

148

アルカテル上海貝爾公司

104

158

大唐移動通信設備有限公司

97

200

比亜迪(BYD)公司

81

表2 中国企業のPCT出願数

 中国企業によるPCT出願数を表2に示す。通信技術に関する出願が突出していることが理解できる[3]。特に中興通信(ZTE)と華為テクノロジーの出願総数は際だっている。自動車メーカであるBYDは毎年着実にPCT出願数を増加させている。


[1] 周 道鸞 著「中華人民共和国司法解釈全集」(人民法院出版社 1994年) p1

[2] 出典:WIPOホームページ http://www.wipo.int/pressroom/en/articles/2011/article_0004.html

[3] 出典:知識産権局 専利統計簡報2011年第2期

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