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対象:特許・商標・著作権
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中国特許判例紹介(36)(第3回)中国における均等論の解釈~方法の順序を変更した場合に均等が成立するか~
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中国における均等論の解釈
~方法の順序を変更した場合に均等が成立するか~
中国特許判例紹介(36)(第3回)
2014年9月9日
執筆者 河野特許事務所
弁理士 河野 英仁
浙江楽雪儿家居用品有限公司
再審申請人(原審被告)
v.
陳順弟
再審被申請人(原審原告)
5.結論
最高人民法院は、方法のステップの一部を他人に実施させた場合にも侵害が成立する、及び、ステップ6及び7のステップは順序を入れ替えた後も均等侵害が成立するとした第1審及び第2審判決を支持した。
一方、ステップ10及び11については、順序を変えた後の被疑侵害方法が均等侵害となるとした第1審及び第2審判決を取り消した。
6.コメント
方法発明についての権利範囲解釈に当たり非常に参考となる事件である。
(1)方法の一部を他人に実施させた場合
方法の一製造工程を第三者に委託して実施させた場合でも、サンプルを渡して製造させていた場合は、委託者は方法特許の侵害を問われることとなる。米国最高裁判所において寄与侵害の成立性が争われたAkamai事件においても、直接侵害が成立するには、委託者が第三者に管理または指示を行っていたことが条件とされており、中国においても同様の判断がなされているといえる。
(2)方法の順序と均等論について
方法の請求項は、請求項及び明細書中の記載から、記載した順序に権利範囲が限定される場合がある。そのような場合、均等論を主張することとなるが、均等が成立するか否かは、請求項に係る方法と、変更後の被疑侵害方法とにより実施される工程によりもたらされる効果を対比分析することとなる。本事件では作業性、効率が両者の間で相違することから、ステップ10及び11の互換では、均等侵害が成立せず、逆にあまり作業性、効率が変わらないステップ6及び7の互換では均等侵害が成立した。
中国では均等侵害の成立性判断が困難であるが、本事件は非常に参考となる。
(3)中国特許請求項及び明細書記載上の注意点
本事件で注意すべきは、献納原則である。出願人は確かに、ステップ10及び11は入れ替え可能であると明細書に記載していた。しかしながら、明細書に記載するだけでは不十分で、当該記載を請求項中に反映しなければならない。
明細書作成中に、第三者の迂回技術を防止するために、「他のバリエーションも可能」、「順序入れ替えも可能」等の記載を行うが、これらの記載だけでは不十分で、権利主張するためには、請求項でカバーされているか否か確認すべきである。
その他、不要なステップは削除するか、または、従属請求項中に記載すべきである。特に本特許における第12ステップの「包装する」は、先行技術との差別化の観点からも不要であり、独立請求項に記載すべきではない。包装ステップを別の業者が行った場合、直接侵害が成立しないとの抗弁を受けることとなるからである。
本事件は方法の請求項が争点となったが、上記注意点は装置の請求項についてもいえることである。
以上
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