インドにおける改訂特許審査基準の解説(第2回) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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インドにおける改訂特許審査基準の解説(第2回)

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インドにおける改訂特許審査基準の解説(第2回)

~コンピュータソフトウェア・ビジネス関連発明に対する改訂審査基準~

河野特許事務所 2011年5月26日 執筆者:弁理士  河野 英仁

4.コメント

 特許審査基準は法的拘束力を有さないが、審査官は特許審査基準に基づき審査を行うため、これに従った出願手続きを行うことが賢明である。

 

 本改訂特許審査基準の注意点は以下のとおりである。

 

(1)ビジネス関連発明は特許されない

 改訂特許審査基準の規定bに示すとおり、ビジネス関連発明はインドでは特許されない。米国及び日本ではビジネス関連発明は特許され得るが、インドでは門前払いとなる。このような取り扱いは中国[1]と同様であり、権利化を試みる場合、技術色を全面に打ち出した内容に明細書及びクレームを修正した上で、出願しない限り、権利化できない点に注意すべきである。

 

(2)プログラムクレーム及び記録媒体クレームには、構成要件中にハードウェアを記載する

 規定fによれば、プログラムクレーム及びコンピュータ・プログラム製品クレーム(記録媒体クレームを含む)が、ハードウェア等の法定主題をクレームに含んでおり、ハードウェアが明細書に十分開示され、ハードウェアがクレームの本質的要素である場合は、保護適格性を有するものと考えられる。

 

 逆にいえば、「コンピュータを用いて、」等、単に形式的にハードウェアがクレームに含まれているにすぎない場合は、規定fの要件を具備せず、保護適格性が否定されると解される。この点は日本及び米国の実務と共通する。

 

 残念ながら、改訂特許審査基準には他国の審査基準とは異なり、具体例が全く記載されておらず、どの程度ハードウェアを絡めて記載すれば保護適格性を有するのかが不明である。次回の改訂時に具体例の追記が望まれる。

以上


[1]中国審査指南第2 部分第九章 詳細は河野 英仁,聶 寧楽「中国におけるコンピュータ・ソフトウェア及びビジネス方法関連発明の特許性~審決及び判例に基づく特許性の分析~」AIPPIジャーナル2010年2月号 日本国際知的財産権保護協会を参照されたい。

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