法定相続人に行方不明者がいる場合 - 遺産相続全般 - 専門家プロファイル

吉田 武広
吉田行政法務事務所 所長
東京都
行政書士

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対象:遺産相続

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法定相続人に行方不明者がいる場合

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こんにちは。吉田行政法務事務所の吉田です。

これは、私の実務経験も含めてお話しします。

ある方が亡くなられて、法定相続人が二人いました。

そのうちの一人が、もう15年以上行方不明であり、警察にも捜索願を2回出していました。

この場合、普通「失踪宣告」(行方不明になってから7年経過したときに死亡とみなされる制度)を家庭裁判所に申立てをするのが、常套手段ですが、このケースの場合、「失踪宣告」の申立てを行っていませんでした。

そこで、今回の相続にあたって、家庭裁判所は「不在者財産管理人を選任する」ようにアドバイスがあり、その過程で、私が「不在者財産管理人」に選任されました。

じゃあ、相続財産はどう分割するか?

家庭裁判所は、「法定相続どおりに分割するように」とのことで、実際にいらっしゃる法定相続人と「行方不明の」法定相続人で、2分の1ずつ相続財産を分割する「遺産分割協議書」の案文を提出しました。

その後、私の事務所で相続財産のうち金融機関の解約手続きや、提携司法書士の協力を得て、不動産は実際にいらっしゃる法定相続人の単独所有とし、「代償分割」により、その不動産価格の2分の1相当額を「不在者財産管理人」である私の口座に支払い、結果的に「2分の1ずつ」の遺産分割を行いました。

実際にいらっしゃる法定相続人は速やかに「失踪宣告」の申立てを行い、1年以上経過した現在も、「失踪宣告」は下りていません。

家庭裁判所の調査官が、かなり綿密に事情を聞いたり、証拠品があるかどうかの調査を行っていました。

その過程で、亡くなられた人の離婚した元配偶者が、行方不明になった人の、名前とおそらく行方不明になった時期が書かれた書いた紙を、仏壇において毎日拝んでいる、との事実が発見されました。

また、行方不明になった人について、離婚後も、亡くなった人(元夫)と手紙で連絡を取り合っていた事実も出てきました。

この2点が調査官にとって、「非常に重要な事実である」との判断があり、現在、6か月の検索催告の手続に入り、そろそろ「失踪宣告」が下りるのかなあ、とも思っています。

ここで、肝心なことは、行方不明になった人の死亡とみなされる日付と、亡くなった人の死亡日との関係があります。

もし、行方不明になった人の実際の死亡日が、亡くなった人(父)の死亡日より後であれば、その行方不明になった人(独身・子供なし)の相続が開始し、離婚はしていても、「母」である人が「法定相続人」になります。

このように、行方不明になった人がいる場合の相続は、本に書いてある以上に、複雑で時間もかかります。

実際の実務から得られるものは、何よりも重要です。

私の事務所でも500件以上の相続案件を承っていますが、やはり「実務経験」に勝るものはない、と改めて感じました。

 

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吉田行政法務事務所 所長 吉田武広

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