３月の住宅ローン金利と今後の見通し

相談業務店舗タイプ 2011-03-01 10:00

まず変動金利ですが、これは当然ながら据え置きとなりました。２月中旬に、長期金利が上昇したとか、日本銀行が景気判断を引き上げたというニュースが流れ、変動金利も引き上げになるのではというご質問を頂くことが多いのですが、変動金利はすぐに引き上げにはなりません。

変動金利が引き上げになるためには、まず現在の日本がデフレ基調から脱却してインフレ基調になり、変動金利の指標となる日本銀行の政策金利が引き上げになる必要があります。

昔の日本や中国のように、経済成長が１０％前後で推移すれば、当然ながらインフレになる訳ですが、現在そして今後の日本経済は３％前後の低成長しか見込めず、インフレ基調になるにはまだまだ時間がかかるものと考えられます。

またこの円高で海外の輸入価格が上昇しても、円換算すると相殺されてしまいます。従って、専門家の一致した見方としては、この状態まで日本経済が回復するのは２０１２年以降と言われています。なお、政情不安による原油高や異常気象による穀物高はインフレ要因にはなりますが、これは経済回復にとって悪影響であるだけであり、上記でいう日本経済回復によるインフレ基調とは言えません。

次に固定金利です。３月の全期間固定金利は、三井住友銀行では２月から据え置きの3.13％になっています。しかし、同行の１０年固定は上昇していることやソニー銀行等も上昇していることから、３月の最需要期に向けての戦略的な金利設定と言えそうです。

２月は基準となる長期金利が、リビアの政情不安で原油価格が高騰する前までは、アメリカの堅調な企業業績に支えられて日米で株高が進行したことから、一時1.350％近辺まで上昇しました。

その後は原油価格の高騰が景気回復に水を差すとの思惑から、逆に株安・債券高（金利は低下）が進み、長期金利も1.250％近辺まで低下しましたが、銀行側の資金調達は既に終了していたものと考えられ、金利は実質的には引き上げとなりました。

今後の見通しですが、まずは「中東ドミノ」と言われるこの現象がどの程度波及するかに、今後の長期金利は左右されるものと考えられます。

一気にサウジアラビアなどの主要な産油国にまで広がれば、原油価格はさらに高騰し、株安・債券高が進み、長期金利も1.200％前後まで低下する可能性があります。

一方で、この流れが落ち着きを取り戻し、原油価格の高騰に一服感が出れば、逆に株高・債券安となり、長期金利が上昇する可能性もあります。

また日本の政治がさらに混乱するようであれば、日本国債への不信感から債券安となり、長期金利が上昇します。

このように様々なパターンが想定されるため、４月の固定金利は読みにくいというのが正直な感想です。しかし、今まで固定金利が連続して引き上げになっていることから、水準的には横ばいか低下の可能性が現時点では一番高いのではないかと考えています。

なおフラット３５の金利は月初の第２営業日にあたる、３月２日に発表の予定です。（横ばいか多少上昇するものと考えられます）

沼田　順（ＣＦＰ(R)認定者・１級ＦＰ技能士、宅地建物取引主任者、住宅ローンアドバイザー）

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