ひきこもりへの大事な見方 - キャリアデザイン - 専門家プロファイル

松尾 一廣
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大阪府
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ひきこもりへの大事な見方

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 引きこもることに対して、芹沢俊介さん(評論家)は著書「存在論的ひきこもり」論(雲母書房)で、その意味を次のように書いておられる。


(1) 引きこもることは、本人にとって切実な意味と動機をもった一連の行為、すなわちプロセスのある出来事であるということ。

(2) それゆえ、引きこもるという行為はそれがなくては本人が本人でなくなってしまうような経験であるということ。

(3) したがって、引きこもるという経験は、本人の人生上の一時期を構成する不可避的、ないし必然的な一コマとして位置づけられること。

(4) それゆえ、引きこもることは捨てるべき不毛な否定的経験などではなく、人生の次のステップへ進むための大切な基盤となりうるということ。


 キャリアカウンセラーは、相談者のほんの小さな経験や、趣味や気ままな時間の過ごし方からも次へのステップの大事なリソース(資源)が潜んでいると考え、そこをおろそかにはしない。

 そうしたカウンセリング法を学んだ立場から言えば、芹沢さんのこのご指摘は極めて自然に受け止めることができる。しかし、精神科医、臨床心理士は、一般的にはこれとは違うスタンス、発想を持つことが多いようだ。

 例えば、精神科医の斎藤環さん。著書『社会的ひきこもり』(PHP新書)で次の様に定義付けしておられる。


『二十代後半までに問題化し、六ヶ月以上、自宅にひきこもって社会参加をしない状態が持続しており、ほかの精神障害がその第一原因とは考えにくいもの。』


 これに対して芹沢さんは、「二十代後半までに」「六ヶ月以上」」という言葉の不確かさがあるうえ、「問題化」という言葉の背景に「あってはならない事態」と見る見方があり、「治療の対象」という乱暴な言説に異を唱えておられる。

 つまり、ひきこもりに対しての否定性が定義の底流に横たわっていると指摘。その行きつく先は、<社会に望まれる人間>にするという名目で、個人を無視した価値観の押しつけがはびこることにもなりうる。

 この否定的見解は、後のさまざまな支援機関や支援者にも影響を及ぼした。

 人間の成長は、直線状に右肩あがりにコンスタントに進むものではない。行ったり戻ったり、進んだり止まったり、後退もする。それを踏まえた上で、より大きな視野から成長のプロセスを見るキャリアの発想で、ひきこもり当事者と接するカウンセラーが求められているように感じている。 

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