フランス料理におけるタイ米 - 料理教室 - 専門家プロファイル

塚本 有紀
フランス料理・製菓教室「アトリエ・イグレック」 主宰
大阪府
料理講師

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対象:料理・クッキング

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閲覧数順 2024年04月23日更新

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フランス料理におけるタイ米

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フランス料理でもお米をときどき使います。長粒米(riz long)はおもに料理の付け合わせに、丸米(riz rond)はガトー・ド・リgateau de riz(お米を牛乳で甘く煮たデザート)などお菓子に。

お米は、付け合わせとしてはピラフにして鶏や仔牛など煮込み料理に添えたり、ドレッシングを回しかけてお米サラダにも使います。フランス人にとってお米は野菜や茸などと同じで料理の一素材にすぎないので、付け合わせがお米でもパンを添えていただきます。お米サラダをパンと食べるのは、ちょっとヘンな気分です。でもおいしい!

こんなときに使うのは、タイ米の「riz parfumé香り米」です。日本米と違って、ぱらっとしたタイ米はピラフにとても向く素材です。玉ねぎをバターで炒め、お米と水を入れてオーヴンで火を通すとできあがり。日本のお米でも同じようにできますが、タイ米のほうがよりおいしいと思います。ちなみにフランスではカマルグという湿地帯で栽培されたお米が有名です。滞仏日本人向け(?)には、カリフォルニアの日本米。イタリア産も粘りがあって使えます。ちょっと違うなあ・・と思いつつも、ときどき散らし寿司を作って嬉々として食べていたことをよく覚えています。

最初に、フランスでタイ米を「香り米」と呼ぶことを知ったとき、結構びっくりしました。93年に起こった記録的な米不足で、私たち日本人が「くさい」とか「まずい」などと言って切り捨てた、あのタイ米のことです。他国の食文化にたいして、本当に失礼なことですが、私も日本米を確保しようとしていたことを覚えています。フランスにはちょっと上質なバスマティriz basmatiというお米もあり、こちらはインドやパキスタン原産。なんとヒンズー語でバスマティとは「香りの女王」を意味するのだとか! 世界でもっとも香りの強いお米の一つだとウィキペディアにはあります。

いずれにしてもあの香りは彼らにとってはまぎれもなく「よい香り」なのです。考えてみたら、あれは良い香りなのだと物心ついたときから教え込まれたら、よい香りなのだと子供は思います。逆に「タイ米はくさい」なんて教えられたら、子供は確実にくさいと感じるようになるでしょう。たしかにタイ米で梅干しを食べられるかというと、それは難しいかもしれませんが、私も今となってはフランス料理に添えるときは、やっぱりあの独特の香りのあるタイ米でないと気分がでないのです。米騒動のあとは逆にタイ米は店頭からまったくなくなってしまい教室には困りましたが、今はエスニック料理の材料コーナーでなら手に入ります。日本にはすばらしい日本米がいくつもあるのでもちろんそうなるのも分かりますが、香りも文化なのだとしたら、せめて子供にひどい見方を教えるのはやめにしたいものです。

そういえば日本の高知でも「香り米」を作っていて、ずいぶん前に頂いたことがあります。「ほんの少しを日本のお米に混ぜて炊けばよい」と教わりました。お米が炊きあがると、部屋中にあの香りが立ちこめました。ひいき目なのかタイ米のちょっとだけ高貴なバージョン・・のような気がしました。ところで「香り米」には「ジャスミン米riz jasmin」の別名もあります。なぜ? それは「ジャスミンの香りがするから」だと、タイを旅行した人から教わりました。残念ながら私はいまだかつてジャスミンの香りを感じたことがありませんが、いつかタイで味わえる日が来るのを願っています。

ピラフ

お米 200g

たまねぎのみじん切り 80g

バター 35g

水 280g

タイム、ローリエ

1. 玉ねぎをバターで炒める。ここにざっと洗ったお米を入れて、一緒に炒める。

2. お米が少し透き通ってきたら、水を入れ沸騰させる。

3. 軽く塩を振り、タイム、ローリエを置く。紙蓋を落とし、180℃のオーヴンに15〜20分入れる。

4. かき混ぜて塩加減を調整する。

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