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Bilski最高裁判決を受けたUSPTO内部インストラクション発表される
〜方法クレームに対する保護適格性判断〜(第1回)
河野特許事務所 2010年8月13日 執筆者:弁理士 河野 英仁
1.概要
米国特許商標庁(USPTO)はBilski最高裁判決*1を受け、2010年7月27日、方法クレームに対する保護適格性の判断基準を発表した。Bilski最高裁判決では、ヘッジ取引に関する方法発明は米国特許法第101条の規定に基づき特許されないと判示された*2。
最高裁は過去の判例により、
自然法則、物理的現象、及び、抽象的なアイデア
は保護適格性を有さないが、ビジネス方法に関する発明自体は米国特許法による保護対象になると判示した。
さらに、方法が抽象的なアイデアをクレームしているか否かを判断する基準としてCAFCが示した機械変換テストは有用なツールではあるが、当該テストが唯一の基準ではないと判示した。最高裁は、機械変換テストを唯一の基準として制限することは特許法の制定趣旨及び判例に反し、また、将来発生する新技術を保護すべく、他の判断基準を判示することを否定した。
CAFCが判示した機械変換テストとは、方法クレームが以下の2条件のいずれかを具備する場合に、米国特許法第101条の要件を満たすとする判断基準である。
(I)クレームされた方法が特別な機械または装置に関係していること、 または
(II)特別な物・もの(article)を異なる状態または物体へ変換していること
参考図1 方法発明の保護適格性の基準を示す説明図
参考図1は、方法発明の保護適格性の基準を示す説明図である。方法が自然法則、物理的現象または抽象的なアイデアをクレームしている場合、米国特許法第101条の規定に従い保護適格性がないとして拒絶される。
一方、方法クレームが機械変換テストを満たす場合、保護適格性ありと判断される。
最高裁判決により、「機械変換テストを満たさないものの、抽象的なアイデアでないとして保護適格性を有する発明」が存在する可能性が示唆され、当該方法発明をどのような基準で判断するかが問題となる。
USPTOは以下に詳述する判断要素を列挙し、
(i)方法クレームがある判断要素を具備する場合、保護適格性を有するとの判断を肯定し、
(ii)方法クレームが別の判断要素を具備する場合、抽象的なアイデアであるとして保護適格性を否定することとした。
(第2回へ続く)
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