中国特許権侵害訴訟の傾向と分析(第12回) - 特許 - 専門家プロファイル

河野 英仁
河野特許事務所 弁理士
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中国特許権侵害訴訟の傾向と分析(第12回)

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中国特許権侵害訴訟の傾向と分析

〜中国企業に狙われる外国企業〜(第12回) 
河野特許事務所 2010年6月29日 河野 英仁


(2)訴訟の経緯
 深圳三星科健移動通信技術有限公司(以下,被告という)はGSM/CDMA 切り替え型の携帯電話機を中
国内にて販売している。原告は上述した734 特許を2005 年5 月25 日に成立させた。原告は,被告の他,
モトローラ,LG 等が734 特許を侵害すると判断し,ライセンス料の支払を求めると共に,これに応じない場合は訴訟を提起する旨通知した。2007 年4 月9 日原告は被告が734 特許を侵害するとして杭州市中級人民法院へ提訴した。原告は被告が販売する携帯電話機の製造及び販売の即時停止,並びに,損害賠償を求めた。
 734 特許の請求項1 は以下のとおりである。
「1.(技術特徴1-1) GSM/CDMA2 モデル移動通信方法であり特徴は以下のとおり:
 (技術特徴1-2) 主印刷回路板(6)上の主CPU(5)は,ハードウェアの測定判断あるいはユーザのメニュー選択に基づいて,主通信モジュール(2)または補助通信モジュール(3)の始動を決定し,
 (技術特徴1-3) 補助通信モジュール(3)が存在しない場合,主CPU(5)は自動的に,主印刷回路板(6)上の主通信モジュール(2)を始動し,
 (技術特徴1-4) 補助通信モジュール(3)が装置に挿入されている場合,主CPU(5)は自動的にユーザに,キーボードまたは専用スイッチを通じて選択を希望する通信モデルを提示し,選択された通信モジュールを始動し,主CPU(5)は電源切り替えスイッチ(13),可聴周波数切り替えスイッチ(14),アンテナ切り替えスイッチ(15)及び連接器(1)の相互組み合わせを通じて,共有部品及び選択動作モジュールを選択されたGSM またはCDMA 双方式動作モジュールへ移行し,
 (技術特徴1-5) キーボードにおける「モデル選択」指令作用の下,主CPU(5)は電源切り替えスイッチ(13),可聴周波数切り替えスイッチ(14),アンテナ切り替えスイッチ(15)及び連接器(1)を通じて,主通信モジュール(2)及び補助通信モジュール(3)に対し,データ交換を実現し,
 主通信モデルとする「モデル選択」の場合,主CPU(5)は直接主通信モジュール(2)とデータ交換を実現し,
 補助通信モデルとする「モデル選択」の場合,主CPU(5)は電源切り替えスイッチ(13),可聴周波数切り替えスイッチ(14),アンテナ切り替えスイッチ(15)及び連接器(1)を通じて,補助通信モジュール(3)に対しデータ交換を実現する。」
 2007 年5 月8 日被告は対抗手段として復審委員会に対し734 特許の無効宣告を請求した。復審委員会は,734 特許は有効であるとの決定をなした(22)。2008 年5月14 日杭州市中級人民法院は審理を再開し,2008 年12 月19 日被告が原告特許を侵害するとの判決をなした(23)。人民法院は2007 年度までに被告が約70 万台以上販売した携帯電話機の製造・販売の即時停止を命じると共に,5000 万元(約7 億5 千万円)の損害賠償金の支払いを被告に命じた。
(3)創造性に関する考察
(i)本稿では被告が主張した無効理由の内,「創造性」について検討する。
 創造性に関し専利法第23 条第3 項は以下のとおり規定している。
 「創造性とは,出願日前に既に存在する技術に比べて(改正専利法:現有技術に比べて),当該発明が突出した実質的特徴及び顕著な進歩を有し,当該実用新型が実質的特徴及び進歩を有することをいう。」
(ii)被告は主としてU.S. Patent No. 6259929(以下,引用文献1 という)とU.S. Patent No. 6141560(以下,引用文献2 という)との組み合わせにより,請求項1に係る発明は創造性がないと主張した。
(iii)引用文献1 は基本モジュールにアナログ電話モジュールまたはデジタル電話モジュールを取り付けることが可能な装置を開示している。図11 は引用文献1 の概要を示す説明図である。  

(第13回に続く)  

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