- 野平 史彦
- 株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
- 千葉県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
内断熱工法は、冬の厳しい北海道で永年研究され、 室蘭工業大学の鎌田紀彦助教授を中心に新木造住宅技術研究会によって開発された新在来木造構法が公開された工法としては代表的なものです。
(ちなみに、私は大学時代、この鎌田ゼミに在籍していました。)
木造の軸組の中に高性能グラスウールを挿入し、室内側に防湿気密シートを張り、室外側に防風シートと通気層を設けるという基本構成になっています。
これまでの住宅で欠けていたのは「防湿気密シート」でした。壁の中に断熱材は入れても、この防湿気密シートを張ることはなかったのです。防湿気密シートとはその名の通り水蒸気を通さない素材で、主に0.2ミリの耐久性に優れたポリエチレンシートが用いられています。
中に用いられる断熱材は「高性能グラスウール」で、一般に使われているグラスウールに比べてガラスの繊維が細かく、断熱性能が高いもので、「細繊維グラスウール」とも呼ばれます。
高断熱とは断熱性を高めたもの、ということは誰でもイメージし易いことだろうと思います。しかし、高気密とは何のために必要なのか、ということにすぐに回答できる人は少ないかもしれません。
これまでの家は断熱もさることながら、気密性が悪いため、換気損失という隙間風による熱損失が家全体の熱損失の30%もありました。これではどんなに断熱材を厚くしても仕方ありません。
高気密はこのように隙間風をなくし家全体の気密化を図るものですが、室内で発生する水蒸気が壁体内に侵入して壁内結露を起し、構造体を腐らせるのを防ごうという大きな目的を持っているので、気密と防湿を兼ねた防湿気密シートという訳です。
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住宅断熱基礎講座は、毎週月曜日掲載
次回は、「通気工法」です。
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