廃棄物処理政策に関して検討されている論点(2)-6 - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

尾上 雅典
行政書士エース環境法務事務所 
大阪府
行政書士

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閲覧数順 2016年12月07日更新

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廃棄物処理政策に関して検討されている論点(2)-6

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法令改正 2010年 廃棄物処理法改正

廃棄物処理業の許可制度の整備と優良化の推進(第6回目)




 ※関連記事
 (第1回目)廃棄物処理業の許可制度の整備と優良化の推進
 (第2回目)「経理的基礎」ってなに?
 (第3回目)行政監視の動向とその影響について
 (第4回目)欠格要件とは
 (第5回目)実現するか?収集運搬業許可手続の簡素化
 (第7回目)廃棄物処理業の許可制度の整備と優良化の推進
 

 中央環境審議会 廃棄物・リサイクル部会 廃棄物処理制度専門員会において、「廃棄物処理業の許可制度の整備と優良化の推進」に関して検討されているポイントは以下の4点です。
・「経理的基礎」などの許可基準を明確にするべき
・行政は不適正処理への取締りをもっと徹底するべき
・欠格要件の見直しや、産業廃棄物収集運搬業許可手続の簡素化等、一定の合理化をするべき
・信頼できる産業廃棄物処理業者を育成する観点から、優良性評価制度を拡充していくべき


 今回のコラムでは、「優良性評価制度とは」について解説します。


優良性評価制度とは




 行政に「産業廃棄物処理業者を紹介してください」と頼んでも、まず特定の産業廃棄物処理業者を紹介してもらえません。

 行政には、「公平と中立の原則」があるからです。

 排出事業者が、信頼できる処理業者を探す努力をしているのに、その熱意に応えることができる情報提供システムがなかったため、優良な処理業者には日が当たらず、「安かろう、悪かろう」という処理業者ばかりが生き残る環境になってしまいました。

 このような状況を背景とし、優良な処理業者の情報を公開する必要性が認識され、平成17年4月1日から「産業廃棄物処理業者優良性評価制度」が導入され、「産業廃棄物処理業者の優良性の判断に係る評価基準」に適合した処理業者に関する情報は、財団法人産業廃棄物処理事業振興財団のHPで公開されています。


産業廃棄物処理業者優良性評価制度の注意点




 優良性評価制度は、一定の基準にその産業廃棄物処理業者が適合したというだけの意味であり、「評価された処理業者に委託をすれば、排出事業者の責任が免責される」ということではありません。

 万が一、評価基準適合事業者が不法投棄をした場合には、排出事業者の委託責任が問われることに、変わりはありません。

 産業廃棄物処理業者優良性評価制度は、
 1.遵法性
 2.情報公開性
 3.環境保全への取組
 という、3つの指標に着目して、その処理業者の優良性を判断しています。

 
 「遵法性」とは、過去5年間に、廃棄物処理法などに基づく不利益処分を受けていないかどうかです。

 「情報公開性」とは、過去5年以上前から、インターネット上で、1.会社情報(会社名、会社履歴など)、2.許可内容、3.施設及び処理の状況(施設の概要、処理実績など)、4.財務諸表(直前3年分の貸借対照表、損益計算書)、5.処理料金の提示方法、6.組織体制、7.地域融和(事業場を公開しているかどうかなど)、を公開しているかどうかです。

 「環境保全への取組」とは、ISO14001またはエコアクション21の認証を受けているかどうかです。


優良性評価制度の現在の状況




 財団法人産業廃棄物処理事業振興財団が公開している情報によると、平成21年6月30日現在の、優良性適合事業者数は314社です。

 日本には、産業廃棄物処理業を営んでいる企業が数万社あると言われていますので、適合事業者の割合はせいぜい1%程度です。

 この制度は、どちらかと言うと排出事業者の利便性を高めるために作られたものですが、肝心の排出事業者に制度の存在自体が知られていないというのが現実です。

 処理業者の側にしてみれば、上場企業でもないのに財務状況などを公開しなければならないなど、労力がかかる割には、それに見合うメリットがありません。

 情報を公開する側(処理業者)と、それを利用する側(排出事業者)の双方に、制度を利用しようとするインセンティブが働かないため、制度の普及がほとんど進まなくなっています。

 進境著しい、電子マニフェストの普及状況と比べると、その差は歴然としています。


 次回のコラムでは、優良性評価制度の改善の可能性について解説します。



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