固定資産税30年間過大徴収に国家賠償 - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

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固定資産税30年間過大徴収に国家賠償

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発表 実務に役立つ判例紹介
固定資産税を30年間に渡って過大徴収していた問題について、時効が
成立している期間を除き、国家賠償請求が認められるという判断が、
名古屋高裁平成21年4月23日判決(TAINSコードZ999-8225)において
下された。

本件は、マイナス30度の冷凍倉庫を一般倉庫として課税されていたことに
対して、地方税法が求める固定資産税評価審査委員会への審査請求等を
経ずに提起された国家賠償請求訴訟であり、手続き的に問題があるところ、
原告納税者の主張が受け入れられ、時効が成立していない部分について
請求が容認された画期的な判決であり、その動向が注目されるところである。

判決の趣旨は以下の通り。
被控訴人は、登録価格については、固定資産評価審査委員会に対する
審査の申出及び審査申出に対する決定の取消しの訴えのみによって
争うことができると規定されている旨主張する。
しかしながら、評価基準による固定資産の価格の決定、当該価格の
固定資産課税台帳への登録、これに基づく固定資産税等の賦課徴収は、
いずれも被控訴人担当者により行われる固定資産税等の課税処分のための
一連の手続であるが、価格登録後はそれまでの過誤が一切免責される
というのは相当でなく、地方税法の諸規定は、目的、要件及び効果を
異にする国家賠償訴訟を排除する取扱いとなるものではない。
また、被控訴人は、控訴人らが地方税法上の救済手続を利用しなかった以上、
国家賠償訴訟を提起することは許されない旨主張し、最高裁昭和57年2月
23日判決を援用する。
しかしながら、被控訴人指摘の上記判決は、不動産の強制競売事件における
執行裁判所の処分が利害関係人間の実体的権利関係に適合しない場合に
手続内の救済を求めることを怠った事案に関するものであって、本件とは
事案を異にする。
更に、被控訴人は、課税処分の違法を理由とする国家賠償を認めることは、
当該課税処分を取り消すことなく過納金の返還請求を認めたのと同一の
効果が生じることになり、不服申立期間の制限等により課税処分を早期に
確定させて徴税行政の安定とその円滑な運営を確保しようとした法の趣旨が
没却される結果を招来するなどと主張する。
しかしながら、過誤納金の還付等の制度は、民法上の不当利得返還制度の
特則としての意義を有すると解されるところ、国家賠償法制度とは、趣旨や
目的、要件及び効果を異にする別個の制度であるというべきであり、また、
一般の行政処分の場合にはその違法を理由とする国家賠償訴訟は取消訴訟を
経ることなく提起することが原則として許されているのであり、課税処分の
効果と損害の内容が実質的に同一であるからといって、課税しょぶんにだけ
国家賠償がおよそ排除されるとするのは適当ではなく、課税処分が違法
である場合には、その取消判決がないことの一事をもって、当該納税者に
損害を甘受させる合理的な理由は見出し難い。

として、国家賠償請求を認めた上で、

被控訴人担当者は、税務担当者として通常要求される程度の注意義務を
怠って、本件各冷凍倉庫につき、本件基準表7(2)(冷凍倉庫用)の
経年減点補正率を適用することなく、同表7(1)(一般倉庫用)のそれを
適用して過大に価格を評価し、これに基づき過大な課税徴収がされた
というのであるから、本件各課税処分には国家賠償法上の違法性があり、
また、被控訴人担当者には過失があるというべきである。
そして、本件各課税処分については、地方税法上の不服申立手続及び
行政処分取消訴訟が提起されているわけではないが、証拠によると、
控訴人らは、平成18年春ころ、本件各倉庫につき、法人税における
企業会計基準に基づく固定資産評価と固定資産課税明細書における評価額の
食い違いに疑問が持ったことから、被控訴人担当者に償却年数を尋ね、
これをきっかけに、控訴人らが所有する倉庫の中でも同様の構造や利用形態
であるにもかかわらず本件基準表7(2)の経年減点補正率が適用されている
ものと適用されていないものがあることが判明したため、本件訴訟を提起する
に至ったことが認められるところ、このような経緯等に照らしても上記手続を
経ずに控訴人らが国家賠償を請求することが権利濫用に当たるとはいえず、
本件において、他に権利濫用として許されないというような特別な事情や
過失相殺をすべきような事情は窺われない。

として、時効成立以前の昭和61年度分以降の課税処分に対する違法性を
認め、国家賠償請求を容認したのである。


地方税職員に対しては若干酷な判決であるが、地方税職員の徴税努力や
そのための調査努力が果たされていない現実があり、納得できる判決である。

私が現在最高裁で闘っている軽油引取税事件についても、税務調査は
余りに杜撰であり、関係者に対する調査顛末書の一部のみが証拠として
提出されているものの、事件の核心に迫る部分の調査顛末書を原告から
証拠提出を求められても、提出できない。
誰が納税義務者であったのかを確認するための重要な証拠でありながら、
高裁であっても証拠提出できない杜撰な調査の実態が明らかなのである。

本件のような固定資産税の過大請求はかなりの数に上るのではないか。
特に冷凍倉庫と一般倉庫を保有する本件のようなケースでは、外見からは
いずれの倉庫であるかは一見して判別することは出来ず、一つ一つを
確認する必要があるはずである。
それも、地方税法は、税務職員に対する調査確認義務を課しているわけで、
固定資産台帳の縦覧制度を利用して、納税者に是正を求めさせることが
大前提とは言い切れないと私は考えるのだが、いかがなものだろうか。

財政再建を国からの地方交付税に頼り、独自の努力がなかなか見られない
地方にそこまでを期待することは不可能なのであろうが、人事交流等を
使って国税庁へ出向させ、国税庁の徴税努力を学ばせることも必要なのでは
ないだろうか。

小泉改革が求めた地方の活力を、地方が放棄したとは思いたくないですからね。

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